研究課題/領域番号 |
23591242
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
小久保 康昌 三重大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (60263000)
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研究分担者 |
葛原 茂樹 鈴鹿医療科学大学, 保健衛生学部, 教授 (70111383)
広川 佳史 三重大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (30322738)
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キーワード | 筋萎縮性側索硬化症 / パーキンソン認知症複合 / 紀伊半島 / グアム島 / タウオパチー / TDP-43 / αシヌクレイン / 難病 |
研究概要 |
紀伊半島南部に多発する ALS/PDC (筋萎縮性側索硬化症/パーキンソン認知症複合)患者の皮膚線維芽細胞からiPS細胞を作成し、運動神経やドパミン産生細胞へ分化させる。得られた細胞を用いて、病態解明や新規薬剤の薬効評価を行うための準備を行う。平成24年度は、23年度に患者4名から得た皮膚線維芽細胞を用いてiPS細胞の作成について研究をおこなった。① 三重大学倫理委員会に患者からのiPS細胞作成と神経細胞への分化に関する研究計画の審査が行われ、承認を得た。② 十分なインフォームドコンセントを得た上で紀伊ALS/PDC患者の協力のもと4名の患者において皮膚生検を行い皮膚線維芽細胞を採取した。③ 皮膚線維芽細胞にiPS細胞作成因子であるKLF4, SOX2, OCT4,c-MYCの4遺伝子をセンダイウイルスベクターを用いて導入し、2名の患者からiPS細胞を作成した。i)皮膚生検で得られた皮膚細胞から、形態、細胞周期プロファイル、抗原発現パターンによって線維芽細胞を分離した。ii) 線維芽細胞にKLF4, SOX2, OCT4,c-MYCの4種類の遺伝子をセンダイウイルスベクターを用いて遺伝子導入し細胞培養を行った。iii)細胞培養は、fibroblast medium 続いてES cell-supportive medium を用いて行い、ES-cell様コロニーを得た。iv)得られたコロニーから安定した iPS cell lineを得た。 本年度は、24年度の当初研究計画にあった神経細胞への分化誘導実験を行ったが、現時点で有用な分化細胞は得られていない。具体的には、2008年のScience誌1)に掲載された、高齢の家族性ALS患者からiPS細胞を作成した手法を踏襲して行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画のうち、23年度予定分のiPS細胞作成については達成できた。24年度分以降の神経細胞への誘導については、現時点では有用な分化細胞は得られていない。
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今後の研究の推進方策 |
iPS細胞から神経細胞への分化誘導については技術的に難しい部分があり、特に患者由来iPS細胞の場合、至適条件の確立に時間を要する可能性がある。すでに類似疾患で分化誘導に成功している他施設から25年度中に技術供与が受けられる予定であり、最新のノウハウを用いて分化細胞の確立を急ぐ。
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次年度の研究費の使用計画 |
備品: なし。旅費:研究対象者の臨床情報の収集や皮膚検体採取等のための現地調査にかかる費用。研究内容の打ち合わせにかかる費用。国際学会に参加し、情報収集や成果発表を行うための費用。消耗費:細胞培養、遺伝子導入に必要な消耗品費。謝金:実験遂行に かかる技術補佐員の人件費。ほか:通信費、印刷費、論文投稿料、報告書作成などにかかる費用。 消耗品費 50万円、旅費 40万円、謝金 20万円,人件費20万円,他 50万円。
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