研究課題
ミクログリアは活性化を受けると、その環境によって神経障害性を持つM1タイプか、神経保護作用を持つM2タイプに分化することが知られている。我々は、以前よりCD40L、Sema4D及びSema7AがM1ミクログリアの活性化に重要であることを明らかにしてきたが,ALSモデルマウスの脊髄でのGM-CSFの発現亢進が、M1ミクログリアを活性化させ、運動ニューロン障害を悪化させている可能性を見いだしたため、GM-CSFの下流で活性化されるJAK2を阻害する薬剤R723をALSマウスに投与した。JAK2阻害剤は、経口投与後脊髄内で有効濃度に達し、ALSの病態を悪化させることが知られている炎症性モノサイトやiNOS及びIFN-gを抑制したが、症状は改善させなかった。JAK2阻害剤投与により神経保護作用をもつM2ミクログリアのマーカーであるFIZZ1が抑制されていたため、M2ミクログリアの活性化抑制が無効であった原因の一つと推定された。ALSモデルマウスに対する炎症をターゲットとしたアプローチはCOX2阻害剤やピオグリタゾンなどが成功しているが、JAK2阻害剤に関しては無効であることが明らかになった。またALSの炎症をターゲットとした治療戦略を考えるには、M1の阻害だけでなくM2の活性化が必要であることも示唆された。
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