研究課題
われわれは遺伝性筋萎縮性側索硬化症(ALS)の原因遺伝子として全く新規のOptineurin (OPTN)を同定した.この分子は炎症や細胞内輸送,オートファジーなど様々な分子メカニズムに関与している.本研究では,この遺伝子異常を持つ病態モデルマウスとそれに由来する培養細胞を用いて,将来的には治療法の開発にも繋がるような細胞内分子機能を明らかにすることを目的とする.昨年度までにOPTNノックアウトマウス及び変異マウスを作製し,それから得られた線維芽細胞を不死化することによってOPTNの細胞内機能を明らかにするためのシステムを構築したほか,ノックアウトマウスの戻し交配と変異マウスの遺伝的純化を進めるとともに,個体数の確保と行動学的および病理学的評価のための準備を行った.当該年度はOPTNノックアウトマウスの個体数が十分に確保できたため,個体レベルでの行動学的・病理学的評価を統計学的に解析した.また,表現型をより明確にするとともに更なる病態メカニズムを解析するため,ヒト変異型SODトランスジェニックマウスと交配させて病態がどのように修飾されるのかを検討した.さらに,前述したようにOPTNは炎症にも関与する分子であるため全身性の炎症反応が病態を促進させる可能性を考え,LPSによって刺激を加えることにより病態を促進させることも試みた.培養細胞を用いた検討では,OPTNとオートファジーやストレスグラニュール,細胞内輸送などとの関連について解析を行った.これらの研究の結果,モデルマウスにおいてOPTNの機能欠失が神経細胞死を引き起こすことなどが明らかとなり,ALSの病態形成におけるOPTNの役割の一部を解明することができた.本研究成果は学会及び論文にて発表する予定である.
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