研究課題
本研究では,LDL受容体関連蛋白質4(Lrp4)抗体陽性MGの臨床像と神経筋接合部病態を解明し、「アセチルコリン受容(AChR)抗体と筋特異的受容体型チロシンキナーゼ(MuSK)抗体に次ぐ、第3番目の病因自己抗体になる」という理論仮説を検証する。我々は、AChR抗体陰性MG患者から、新たな自己抗体、Lrp4抗体を有する9症例を報告した(Ann Neurol. 2011)。Lrp4抗体測定法は、Lrp4-Luciferase reporter Immunoprecipitation, LUCIP assayを開発した。対象として、既に当研究室で保存されているAChR抗体陰性MG患者300例、AChR抗体陽性MG患者100例、P/Q型VGCC抗体陽性LEMS患者101例、そして,正常者(HC)100例の保存血清を用いた。正常上限値としては、正常者100例の平均+4SDの0.015 nMを用いた。その結果、AChR抗体陰性MG患者300例中9例がLrp4抗体陽性で、抗体価は0.019~2.07 nM, 平均0.65 nMであることが判明した。その臨床像は、男女比4対5、発症平均年齢57歳、嚥下障害を主体とする全身型MGで胸腺腫の合併は無かった。さらに、受容体結合実験で、AgrinとLrp4の結合をMG患者のLrp4抗体が阻害することを証明した。本研究では,さらに検体数を増やして、Lrp4抗体陽性MG症例を蓄積し,特に、神経筋接合部生検の症例数を目標3例とした。その結果、この2年間では、新しいLrp4抗体陽性患者は出なかった。しかしながら、神経筋接合部生検の症例数は目標3例に達した.その結果は、3例とも運動終板に免疫複合体の沈着は無く、電顕でも運動終板の破壊像は無く、アセチルコリン受容体抗体陽性MGとは異なるものであった。現在、その病理像を中心とした症例報告を作成中である。
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