研究課題/領域番号 |
23591251
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
熊本 俊秀 大分大学, 医学部, 教授 (40134936)
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研究分担者 |
木村 成志 大分大学, 医学部, 講師 (30433048)
中村 憲一郎 大分大学, 医学部, 助教 (70608372)
増田 曜章 大分大学, 医学部, 助教 (50464459)
岡崎 敏郎 大分大学, 医学部, 助教 (00464438)
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キーワード | 遠位型ミオパチー / 縁取り空胞 / GNE / オートファジー / リソソーム / プロテアゾーム / valosin/p97 |
研究概要 |
GNE遺伝子異常による縁取り空胞(RV)を伴う遠位型ミオパチー(DMRV)の病態解析と治療法の開発を目的として、GNE結合蛋白の検索及び変異GNE遺伝子、GNEノックダウン細胞を用いたGNEの機能解析を行った。野生型及び変異GNEを過剰発現させたNUGC細胞では、内因性GNEのみの細胞に比べてリソソームは形態的に特に変化なく、GNE発現抑制細胞でも野生型と比べて同様に異常を認めなかった。SiRNA法によりGNEの発現を抑制したマウス筋芽細胞由来のC2細胞の網羅的遺伝子発現解析を行った。その結果、GNE発現抑制細胞では、野生型に比べ発現量が2倍以上変化した遺伝子を116遺伝子認めた。このことよりGNEは、シアル酸合成のみならず種々の遺伝子発現に関与していることが推測された。一方、筋細胞で発現している蛋白質において、GNEと相互作用する蛋白質、ヒト骨格筋cDNAライブラリーを用い酵母ツーハイブリッド法を行い、GNEと相互作用する蛋白質を12候補スクリーニングした。今後、それらを同定し、GNEとの結合を確認する。 また、クロロキン(CQ)添加したC2やHEK細胞では、オートファゴゾームやミトファジィーの過剰形成、LC3-IIの発現増加がみられ、 LysoSensorによるリソソームのpH測定では、6.0を示し、これによるリソソームの機能障害がRVの過剰形成の原因であることが示唆された。さらにRVを過剰形成するCQ投与ラットの脱神経筋(モデル筋)におけるvalocin/p97 (VCP)及びその関連蛋白質について検討した。VCPはヒトと同様にラット筋線維と同様に核、細胞質に局在し、さらにRVにも認められた。しかし、モデル筋では、VCP及びVCP関連蛋白質の発現量は対照筋と有意差を認めず、CQはVCP-SVIP-Npl4/Ufd1システムには影響しないことを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度は、V572L変異遺伝子導入細胞、siRNA法を用いたGNE過剰発現、GNEノックダウン細胞では、リソソームの形態学的検討は概ね出来たが、形態的には野生型細胞との間に有意差が得られなかった。そのためubiquitin-proteasome系列(UPS)及びVCP-SVIP-Npl4-Ufd1及び小胞体ストレス関連の検討の前に、これらの細胞について網羅的遺伝子発現解析及びGNEと相互する蛋白質の検索を行っているが、前者実験はやや遅れ気味である。一方、平成24年度行う予定のRVを過剰発現するモデル筋について、VCPとその関連蛋白質の解析を行うことができ、研究はおおむね順調に進展していると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
交付申請書に記載した「研究の目的」「研究実施計画」に従って、研究を推進する。すなわち平成24年度から始めたGNE遺伝子異常細胞の網羅的遺伝子発現解析を進めると同時に、UPS、VCPシステムと小胞体ストレスについて解析し、平成25年度に行う予定のラット及びヒト筋を用いた研究の残りを完遂する。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究を遂行するために必要な研究用材、試薬等の消耗品の購入、研究成果発表や論文作成のための会議費、文献収集のための複写費・英文校閲・投稿料に用いる。
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