研究概要 |
純粋型常染色体劣性遺伝性痙性対麻痺2家系(家系1,2)の原因遺伝子変異検索を行った.血族婚のある患者と健常者の末梢血DNAを用いてSNPを用いた連鎖解析(自己接合性マッピング)を行い,家系1で4つの,家系2で11の染色体の一部に候補領域(自己接合性断片)を特定した.発端者のエクソーム解析で候補領域内に, 家系1で遺伝子Aの,家系2で遺伝子Bのアミノ酸変化を伴う新規ミスセンス変異をホモ接合体で同定した.各変異は同胞患者にはホモ接合体で存在し, 家系内で共分離していた.また,正常コントロールには認められず, 原因遺伝子変異である可能性が高いと考えられた. 現在,これらが真の病的変異であるか検証するため, モデル動物(ネッタイツメガエル)にて候補遺伝子A, Bの相同遺伝子をTALEN法にて破壊し,機能解析が進行中である. また,成人発症の常染色体劣性遺伝性脊髄小脳変性症患者のエクソーム解析で,新規のAtaxia Telangiectasia Mutated遺伝子の変異をホモ接合体で同定した.この変異は患者ATMのスプライシング異常を引き起こした.また,ヘテロ接合体の同胞の末梢血白血球にてATM kinase活性の低下を証明した.
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