研究課題/領域番号 |
23591255
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
鈴木 重明 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (50276242)
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キーワード | 自己抗体 / 重症筋無力症 / 炎症性筋疾患 |
研究概要 |
蛋白免疫沈降法は35Sで標識したRDを抗原として、患者血清中のIgGを吸着させたプロテインA –セファロース粒子と反応させる。形成された免疫沈降物は7.5% SDS-ポリアクリルアミドゲルで泳動のうえBAS-5000 (富士写真フィルム)によるオートラジオグラフィーで検出する。本法により発見した抗Kv1.4抗体は海外からの依頼検体を含め、他施設から多くの依頼を受けている。抗Kv1.4抗体陽性の重症筋無力症 (MG)は診断のみならず予後判定に重要な血清学的指標であることを明らかにした。特に胸腺腫関連MGにおいては胸腺腫再発あるいはMG再燃の頻度が優位に高いことから免疫療法の選択に有用な情報となる。 自己抗体の心機能抑制効果は連携研究者の馬場博士が確立したex vivoの系を用いた(Baba A et al. Therapeutic Apheresis and Dialysis 12: 109)。ニワトリ17日齢卵を用いて、血清を卵の殻に穴をあけて添加し、心エコーによる心収縮の測定を行った。抗Kv1.4抗体陽性、陰性と判断した患者血清 (各n = 25)を用いて心機能抑制効果を判定した。心抑制のある症例については、その機序を検証する目的で補体除去あるいはトリプトファン吸着後の血清を使用して変化をみた。すでに拡張型心筋症の患者血清で多くの症例で実施されており、血液浄化療法の適応を決める臨床的にも重要な実験系として循環器領域で注目されている。本研究の成果は現在論文投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題に関する論文業績はこの1年間で英文論文として4篇にのぼり、達成度としては当初の研究計画のとおりおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
炎症性筋疾患における自己抗体の測定に関してはRNA免疫沈降法によりスクリーニングを行い、本研究課題の最終年は本法による炎症性筋疾患における診断的意義と筋病理との関連について検討を進める。RNA免疫沈降法は細胞抽出液と患者血清中のIgGを吸着させたプロテインA –セファロース粒子と反応させる。形成された免疫沈降物からRNAをフェノール抽出し、7M 尿素-10%ポリアクリルアミドゲルで泳動のうえ銀染色で検出する。 特に抗signal recognition particle (SRP)抗体が陽性となる筋疾患はanti-SRP myopathyとして筋炎とは異なる炎症性筋疾患であることを提唱してきた。Anti-SRP myopathyにはsubacute formとchronic formが存在し、特に後者は若年で発症し、筋力低下と筋萎縮が強く、一見して筋ジストロフィーに類似した臨床像を呈する。今後、更なる症例を蓄積することでanti-SRP myopathyの臨床特徴をさらに詳細に検討していく。またより簡便なELISAによる測定法との感度、特異度の検証を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
未使用額の発生は効率的な物品調達を行った結果であり、研究費の使用計画の中心は抗体測定に関する試薬の購入である。本研究で行っている抗体測定は培養細胞を多量に必要とするため、そのランニングコストに関する費用である。 また筋病理、臨床情報との比較が必要であるためデータ収集、解析に関する電子媒体や統計ソフトなどにも研究費が必要である。
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