研究課題/領域番号 |
23591257
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研究機関 | 武庫川女子大学 |
研究代表者 |
水野 英哉 武庫川女子大学, 薬学部, 准教授 (90322578)
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キーワード | 神経変性疾患 / パーキンソン病 / SNP / マイクロRNA / αシヌクレイン |
研究概要 |
孤発性パーキンソン病発症リスクの増加に関与するα-Synuclein(α-Syn)遺伝子3'非翻訳領域(3'UTR)内のSNP(rs356165)の違いにより、α-Syn発現抑制活性に影響を与えるmiRNAの探索を行っている。前年度までに、SNP G型(メジャーアレル、PD発症リスク増加)及びA型(マイナーアレル)のα-Syn 3'UTRを含むレポーターベクターを作成し、マイクロRNA(miRNA)と共にHEK293細胞へ導入し、レポーター活性を測定したところ、α-Syn発現を制御することが既に知られているmi-7、-153による抑制はA型とG型の間に差は無いこと、神経細胞特異的なmiR-9、miR-132では、α-Synの抑制は見られないことが分かった。 H24年度は、次の1)、2)について試みた。 1) 外因性のmiRNAでは作用が強すぎて、miR-7、-153による抑制にA型とG型の間に差が見られない可能性を考え、miRNAの阻害剤を用いて、内在性のmiR-7、-153の効果を見ることを試みた。しかし、miRNA阻害剤ToughDecoy(TuD, Takara)を処置しても、レポーター活性の上昇は認められず、我々の実験系では阻害剤としてTuDを用いるのは有効でないと判断した。 2) 今まで使用していたプラスミドは3'UTRの一部のみ、または開始コドン(264番)から1765番ぐらいまであることから、生理的条件下での反応を表していない可能性がある。そこで、異なる長さのベクターを作成して、タンパク質発現を比較することを試みた。完全長のクローニングは時間がかかるため、とりあえず264-2265までクローニングし、A型とG型を比較したところ、G型の方が同じ濃度でより抑制されることを示す結果が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
完全長α-Syn cDNAのクローニングがなかなかうまくいかず、時間を費やしてしまった。とりあえず、これまで使用していたものより長い配列をクローニングし、アレルA型とG型に差が見られた。H25年度の早い内に、完全長のクローニングを成功させて、これでmiR-7の発現の抑制に対するアレルA型とG型の影響を見たい。
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今後の研究の推進方策 |
新規コンストラクトにより、miR-7によるα-Syn発現の抑制にアレルA型とG型との間に差がある可能性を示す結果が得られた。ただし、細胞密度が低いときには、影響が強すぎるのかどちらも完全に抑制されてしまうこともあった。安定した条件下で、有意差検定できるだけの実験を繰り返す必要がある。また、完全長cDNAでは試していないので、上記実験と並行して完全長α-Syn cDNAも作成して同様に比較する。完全長で差が見られた場合には、阻害剤を用いて内在性のmiR-7の効果について検討する。以上の実験で、アレルA型とG型に有意な差が認められた場合には、ショウジョウバエを用いて個体レベルの検討を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
細胞培養、遺伝子導入、組換えDNA、タンパク質発現の検出に関する消耗品に使用する。また、作成した新規コンストラクトのシーケンス解析を外部に委託するのに使用する。
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