研究課題
筋萎縮性側索硬化症(ALS)を引き起こす変異SOD1は立体構造が不安定で凝集体を形成しやすいことから、変異SOD1が野性型SOD1とは異なる構造を有していることが示唆されている。これまでの研究から、SOD1は変異によって構造が変化しやすく、抗体の反応性に違いが出やすいと考えている。また、ALS免疫療法の開発は緒についたばかりで、どのエピトープ部位を用いれば効果が出るのかは未だ不明である。これまでの研究でヒトSOD1のループVI(102-115 aa) を認識するモノクロナール抗体の反応性が野性型SOD1と変異型SOD1で異なることを報告してきた。そこで、ループVIをターゲットにしたワクチン療法および抗体療法(mAb-N6:エピトープが102-115)をALSモデルマウスで検討した。しかし、ループVI-KLHはKLHのみの投与に比べてALSの進行を早める結果となった。またmAb-N6を脊髄に持続投与してもALSの進行を抑制できないことがわかった。ALS免疫療法の開発には安全で効果の出るエピトープ部位と抗体のスクリーニングをすることが重要であることを再認識した。そこで、SOD1の変異による構造変化の検出と抗体療法の開発を進めるために、新たにマウスモノクローナル抗体とラットモノクローナル抗体を作製し、本研究課題の最終年度までに5種類ずつの抗体を得ている。これらの抗体を用いて免疫組織染色を行ったところ、いくつかの抗体はALSモデルマウス脊髄切片の病変部位を染色することができた。現在これらのモノクローナル抗体について変異SOD1との反応性やエピトープマッピングについて検討中である。今後はこれらの新規モノクローナル抗体を用いて変異SOD1の微小構造の解析および抗体療法の開発を進めていきたい。
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J. Biol. Chem.
巻: 288 ページ: 14886-14905
10.1074/jbc.M113.451849