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2011 年度 実施状況報告書

糖尿病性多発神経炎の神経再生治療の基礎的検討

研究課題

研究課題/領域番号 23591260
研究機関川崎医科大学

研究代表者

村上 龍文  川崎医科大学, 医学部, 准教授 (30330591)

研究分担者 砂田 芳秀  川崎医科大学, 医学部, 教授 (00240713)
研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード糖尿病性多発神経炎 / 神経再生治療
研究概要

mouse heart cDNA libraryより、PCRでmouse VEGF-Flagとmouse PlGF2-Flag cDNAを得て、pCAGGSベクターに組み込み、塩基配列をダイレクトシークエンス法で確認した。 この2種類のプラスミドを各々正常マウス前脛骨筋に筋注し(50μl, 1μg/μl)、エレクトロポレーションを施行し遺伝子を導入した。1週間後に筋を抽出し、パラフィン包埋し、切片を作成、HE染色にて観察したところ、新生血管の増生と単核球の浸潤が認められVEGFやPlGF2が発現していることが示唆された。 次にmouse VEGF-Flagプラスミドを正常マウス前脛骨筋に遺伝子導入したあと1週間後にL4, L5, L6(マウスはL6まである)各々の後根神経節(DRG)DNAのプラスミドの有無をPCRで調べたが検出限界以下であった。従ってpCAGGSベクターそのものが逆向性軸索輸送で運ばれたのでないと思われる。 次にDRG由来の蛋白でWestern blot法を行いVEGF-FlagのDRGでの存在を証明しようとしたが、どのマウスDRGも1mg以下で十分な蛋白を得るのが技術的に難しいことが判明した。 一方糖尿病マウスの感覚ニューロパチーを、尾神経感覚神経伝導検査と坐骨神経を電子顕微鏡で病理学的に検討し、ストレプトゾトシン(STZ)投与1週後より感覚神経伝導速度は減少し、投与9週後には無髄線維の萎縮が生じていることを見いだした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

VEGFの逆向性軸索輸送機序の解析については、発現ベクターを構築し、筋内で発現させることができ、PCR解析で発現ベクターそのものが輸送されるのではないことまで証明できたが、マウスDRGが十数個集めても数mgと微量なことからウエスタンブロット解析が困難なことが明らかとなり、VEGFそのものの逆向性軸索輸送の証明にはいたっていない。そこでまず正常坐骨神経で結紮により逆向性輸送蛋白を蓄積させて、免疫染色とELISA法でVEGF-Flagとmouse PlGF2-Flagで逆向性軸索輸送を証明することとしている。 VEGFの神経再生機序の解明については、このddY糖尿病マウスが電気生理学的、病理学的に高血糖でまずどのような状態になっているかを経時的に検討した。その結果いままでマウスでは証明されていなかったがSTZ投与1週後より感覚神経伝導速度は減少している事や、9週後に無髄線維が選択的に萎縮していることを見いだした(論文準備中)。現在この糖尿病マウスでVEGFシグナル系が坐骨神経のmRNAレベルでどう変化しているかの検討を予定している。

今後の研究の推進方策

VEGFの逆向性軸索輸送機序の解析についてはマウス末梢神経系の小ささを考慮し、まずは正常坐骨神経で結紮により逆向性輸送蛋白を蓄積させて、免疫染色とELISA法の2種類の方法でVEGFの逆向性軸索輸送を証明する。またVEGF-Flag発現筋と神経終末の関係を確認するためpIRES2-ZsGreen1 vectorにVEGF-Flag cDNAを組み込み、電気穿孔法で前脛骨へ遺伝子導入しVEGF-FlagとZsGreen1を同時に発現させ、発現筋とVEGF-Flagが取り込まれる末梢神経終末の関係を蛍光顕微鏡で可視可する。最終的には前脛骨筋と対応するL4とL5のDRGで逆向性軸索輸送を免疫染色で確認する。  VEGFの神経再生機序の解明については、糖尿マウスで無髄神経が選択的に障害されているのを解明しているので、その際VEGFシグナル系が坐骨神経のmRNAレベルでどう変化しているかを、VEGFシグナル系の84遺伝子でリアルタイムRT-PCRアレーでまず調べる。つぎにVEGFで治療した時にそれらの遺伝子発現が正常化するかを確認する。再生に関与しているVEGFシグナル系が明らかになれば、坐骨神経のWestern blot法と免疫染色でVEGFシグナル系の蛋白レベルでの動態を明らかにする。またDRGの免疫染色でも同じ変化が生じているかを確認する。同様にNP1受容体に主に働くPlGF2の治療でこの系がmRNAと蛋白レベルで改善するかを確認する。

次年度の研究費の使用計画

前年度未使用研究費は24年度請求の研究費と合わせ新たに必要となった新規発現ベクター構築のためのpIRES2-ZsGreen1 plasmidの購入や、VEGFシグナル系発現を調べるリアルタイムRT-PCRアレー6プレートの購入にあて神経再生に関与するシグナル伝達系を集中的に調べる。さらに本プロジェック成果の一部を米国フィラデルフィアでの遺伝子細胞治療学会、日本神経学会総会、日本神経科学会で発表し、神経再生の情報収集するための旅費として使用する。その他の経費としては現在投稿を準備している論文の掲載費ならびにリプリント代に使用する予定である。またマウスの飼育や糖尿病モデル作成などマウスでの動物実験の研究を円滑に遂行するため研究補助者の謝金として使用する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2011

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Plasmid DNA gene therapy by electroporation: principles and recent advances2011

    • 著者名/発表者名
      Tatsufumi Murakami, and Yoshihide Sunada
    • 雑誌名

      Current Gene Therapy

      巻: 11 ページ: 447-456

    • 査読あり
  • [学会発表] ストレプトゾトシン誘発糖尿病マウスでのニューロパチー発現機序の検討: 神経成熟・成長障害の関与について2011

    • 著者名/発表者名
      村上龍文、岩永崇志、小川芳尚、藤田吉明、佐藤英治、吉富博則、中村明弘、砂田芳秀
    • 学会等名
      日本末梢神経学会
    • 発表場所
      沖縄コンベンションセンター(沖縄)
    • 年月日
      2011年 9月 3日

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公開日: 2013-07-10  

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