研究課題
近年脳梗塞における免疫応答の役割が注目されているが、我々は最近脳梗塞増悪過程におけるインターロイキン(IL) 23-17 axisの重要性を明らかにしている。すなわち、IL-17を産生する細胞が虚血脳で増加し、その浸潤にはIL-23の刺激が必要であること、IL-17産生細胞が当初想定されたCD4陽性Th17細胞ではなくγδT細胞であること、さらに脳虚血導入1日後からの治療開始によるIL-17の抑制であっても脳梗塞を縮小できることを報告している (Nat Med 2009)。本研究では、このIL-17の発現をもたらす上流シグナルについて遺伝子改変動物を用いて解析した。また、培養樹状細胞を用いた刺激実験による解析も行った。浸潤炎症細胞からのIL-23の放出に、Toll様受容体の内TLR2およびTLR4が寄与することを初年度に明らかにし、次年度には、傷害脳組織から放出されてTLR2/4を刺激する物質が、従来抗酸化物質と認識されてきたperoxiredoxin familyであり、新規のdamage-associated molecular patternsとして、脳虚血後の炎症惹起物質として働くこと、その阻害抗体の虚血後投与により、脳梗塞の縮小と神経徴候の改善が認められることを明らかとした(Nat Med 2012)。これらの成果を踏まえ、研究者が日本側責任者として日米の第一線脳虚血研究者30名を招いてNew Orleansで開催したTranspacific Workshop on Strokeで、詳細な内容を講演発表した(Ann NY Acad Sci 2013)。最終年度には脳虚血後に浸潤する免疫担当細胞の特性をさらに検討し、骨髄由来マクロファージおよび内在性ミクログリアが発現する炎症性遺伝子の解析を行い、脳梗塞治療の標的となる免疫担当細胞の役割についての基礎的データを得た。
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