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2013 年度 実施状況報告書

先天性白質形成不全症の遺伝子単離と治療薬検討

研究課題

研究課題/領域番号 23591264
研究機関自治医科大学

研究代表者

小坂 仁  自治医科大学, 医学部, 教授 (90426320)

キーワード白質形成不全症
研究概要

先天性白質形成不全症のうち、Pelizaeus-Merzbacher病(PMD)の診断が、保険診療となったこの3年間に、神奈川県立こども医療センターでPMDが疑われた33例について、PLP1遺伝子の定量的PCR、FISH、シークエンスを行った症例の検討を行った。量的異常は11例(重複;9例、3倍;1例、エクソン2-7の欠失;1例)で認めた。点突然変異は13例で認め、ATG>AGG (initiation codon)(exon1), Phe32Val(exon2), Ala39Val(exon2), Ileu176Asn (exon4), Asp203His(exon4), Arg205Lys (exon4), Ala214Asp(exon5), Gly217Asp(exon5) Ala247Val(exon6), Ala248Glu(exon6) IVS1;-1G>A (intron1),  IVS3;-2A>C (intron3) はそれぞれ1例に、Phe240Leu (exon6) は血縁関係のない2例に認めた。PMD患者におけるPLP1異常の占める割合は、報告例で30%~70%と幅が広いが、臨床所見と画像所見を加味した診断基準を適応した今回の解析では24/33例(72%)と高率に変異を見出すことが可能であった。また点突然変異が、全変異の54%の割合を占めており、従来の報告(20~30%)より、高率であった。エクソン2-7の欠失;1例に関してはPLP1のイントロン1と、RAB9Bのエクソン1にプライマーを設定したところ、Long-PCRが可能であった(~50kb)。順次プライマー間隔を狭め、PCR産物の全長がシークエンス可能となった時点で切断点を同定した (Pediatric Neurol2013)。イントロン1から始まる34 kbの欠失を証明し、切断点を同定した。この症例もまた軽症の表現型であり、機能喪失型変異は、軽症の表現型を呈するという従来の結果を支持した。Hypomyelination with atrophy of the basal ganglia and cerebellum (H-ABC)については、昨年TUBB4Aが原因としてなりうることが報告されたが、(Am J Hum Genet 2013)、我々はH-ABCの7例中6例で、その他の原因不明の先天性白質形成不全症7例中2例でTUBB4Aの異常を見出した(Neurology,in print)

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

新規遺伝子単離が、エクソーム解析によりなされた。
治療薬検討についても、スクリーニングを進めている

今後の研究の推進方策

白質形成不全症の新規遺伝子は順調に進み、保険診療のPLP1遺伝子検索に加え、GJC2,POLIIIA, POLR3B、TUBB4の遺伝子によりほぼ8割程度の診断が可能となった。
治療薬検討については、現在までにマウス投与でPLP1の発現を下げる薬物を見出しておらえず、新しいスクリーニング方法を考える時期に来ている。

次年度の研究費の使用計画

9月に異動があり(神奈川県立こども医療センターより自治医科大学)、そのため研究室のセッティングに時間を要したため。
必要な、研究物品の移動、セッティングが終了し、実験を再開した。
今後スクリーニングの為の、細胞培養システム(プラスミド、培地、安定細胞株作成用の抗生剤等)を立ち上げており、そのための費用として用いる

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Different patterns of cerebellar abnormality and hypomyelination between POLR3A and POLR3B mutations.2014

    • 著者名/発表者名
      Takanashi JI, Osaka H, Saitsu H, et al.
    • 雑誌名

      Brain Dev.

      巻: 89 ページ: 59-63

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Partial PLP1 Deletion Causing X-Linked Dominant Spastic Paraplegia Type 2.2013

    • 著者名/発表者名
      Matsufuji M, Osaka H, Gotoh L,et al
    • 雑誌名

      Pediatr Neurol.

      巻: 49 ページ: 477-481

    • 査読あり
  • [学会発表] ATG>AGG (開始コドン)の変異で軽症の表現型を示したPelizaeus-Merzbacher病の一男児例2013

    • 著者名/発表者名
      山本亜矢子、大城亜希子、安西里恵、高木真理子、奥田美津子、新保裕子、高野亨子、和田敬仁、井合瑞江、山下純正、小坂 仁
    • 学会等名
      第55回日本小児神経学会
    • 発表場所
      大分
    • 年月日
      20130529-20130601

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公開日: 2015-05-28  

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