研究概要 |
先天性白質形成不全症のうち、Pelizaeus-Merzbacher病(PMD)の診断が、保険診療となったこの3年間に、神奈川県立こども医療センターでPMDが疑われた33例について、PLP1遺伝子の定量的PCR、FISH、シークエンスを行った症例の検討を行った。量的異常は11例(重複;9例、3倍;1例、エクソン2-7の欠失;1例)で認めた。点突然変異は13例で認め、ATG>AGG (initiation codon)(exon1), Phe32Val(exon2), Ala39Val(exon2), Ileu176Asn (exon4), Asp203His(exon4), Arg205Lys (exon4), Ala214Asp(exon5), Gly217Asp(exon5) Ala247Val(exon6), Ala248Glu(exon6) IVS1;-1G>A (intron1), IVS3;-2A>C (intron3) はそれぞれ1例に、Phe240Leu (exon6) は血縁関係のない2例に認めた。PMD患者におけるPLP1異常の占める割合は、報告例で30%~70%と幅が広いが、臨床所見と画像所見を加味した診断基準を適応した今回の解析では24/33例(72%)と高率に変異を見出すことが可能であった。また点突然変異が、全変異の54%の割合を占めており、従来の報告(20~30%)より、高率であった。エクソン2-7の欠失;1例に関してはPLP1のイントロン1と、RAB9Bのエクソン1にプライマーを設定したところ、Long-PCRが可能であった(~50kb)。順次プライマー間隔を狭め、PCR産物の全長がシークエンス可能となった時点で切断点を同定した (Pediatric Neurol2013)。イントロン1から始まる34 kbの欠失を証明し、切断点を同定した。この症例もまた軽症の表現型であり、機能喪失型変異は、軽症の表現型を呈するという従来の結果を支持した。Hypomyelination with atrophy of the basal ganglia and cerebellum (H-ABC)については、昨年TUBB4Aが原因としてなりうることが報告されたが、(Am J Hum Genet 2013)、我々はH-ABCの7例中6例で、その他の原因不明の先天性白質形成不全症7例中2例でTUBB4Aの異常を見出した(Neurology,in print)
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