研究課題
本研究の目的は、一次的にα-シヌクレイン蛋白の異常蓄積を来す多系統萎縮症などのパーキンソン症候群において、[11C]BF-227 PETによる非侵襲的な生体脳内のα-シヌクレイン蛋白凝集体の蓄積量測定が早期診断、病期指標、治療効果判定に応用できるかどうかを検討することである。 平成23年度は対象患者のピックアップ、脳MRI及び[11C]BF-227 PET検査を中心に行うことであった。厚生労働省による診断基準に従い10名の患者を多系統萎縮症と診断した。簡易認知機能検査(MMSE)、重症度評価(UMSARS)、脳MRI検査(SPGR,T2WI,FLAIR)の各種評価を行った。いずれの多系統萎縮症患者においても、MMSEが30点満点で27点以上であり認知症がなく、脳MRI検査で形態学的に明らかな異常を認めないことを確認した。この10名の患者全員が[11C]BF-227 PET検査にエントリー可能であり、いつでも[11C]BF-227 PET検査ができる状態に整備した。 当初、本学で[11C]BF-227 PET検査を予定していたが、東日本大震災により本学のサイクロトロンが破損したため平成23年度においてPET検査が施行できなかった。今後、サイクロトロンの復旧がさらに遅れるようなことがあれば他施設での検査も検討している。
3: やや遅れている
対象患者である多系統萎縮症患者のピックアップ、各種評価、脳MRI検査施行まで本研究は順調に遂行できている。しかしながら、東日本大震災によるサイクロトロンの破損のため[11C]BF-227 PET検査が施行できていない。そのため、平成24年度にPETデータを収集し種々の画像解析ソフトを用いて統計解析を行う予定であったが、計画が遅れる可能性が生じている。さらに、対象患者の一部では、縦断的研究のため約1年の間隔をおいて再度上記のPET検査を施行する予定であったが同様に遅れる可能性がある。
平成24年度において、さらに対象患者をピックアップ、各種評価を行い、最終的に多系統萎縮症患者が30名、多系統萎縮症疑い患者が10名になるように被験者をエントリーする。その際、多系統萎縮症のうち、小脳失調が主徴候の患者(MSA-C)とパーキンソニズムが主徴候の患者(MSA-P)が15名ずつになるように被験者をエントリーできる状態にする。東日本大震災により本学のサイクロトロンが破損したため平成23年度においてPET検査が施行できなかったが、今後さらにサイクロトロンの復旧が遅れるようなことがあれば他施設でのPET検査も検討する。PET検査が施行できれば、PETデータを収集し種々の画像解析ソフトを用いて統計解析を行う。
次年度使用額は、当初計画していたPET検査とPETデータ解析を延期することによって生じたものであり、延期したPET検査とPETデータ解析に必要な経費として平成24年度請求額とあわせて使用する予定である。
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