研究課題
本研究の目的は、α-シヌクレイン蛋白の異常蓄積を来す多系統萎縮症などのパーキンソン症候群やパーキンソン病において、[11C]BF-227 PETによる非侵襲的な生体脳内のα-シヌクレイン蛋白凝集体の蓄積量測定が早期診断、病期指標、治療効果判定に応用できるかどうかを検討することである。平成24年度は平成23年度計画(対象患者のピックアップ、脳MRI及び[11C]BF-227 PET検査)を継続するとともに、PETデータを収集し、種々の画像解析ソフトを用いて統計解析を行い、対象患者の一部では、縦断的研究のため約1年の間隔をおいて再度上記のPET検査を施行することであった。当初、本学で[11C]BF-227 PET検査を予定していたが、東日本大震災により本学のサイクロトロンが破損したため本研究の遅延が生じていた。漸く、平成24年10月からPET検査が再開となった。現在までに種々の条件を満たした多系統萎縮症患者2名と代謝解析が必要でないパーキンソン病患者13名(新規8名、継続5名)の計15名に施行することができた。eZISというソフトを用いたpreliminaryの解析では、多系統萎縮症において大脳白質や基底核でα-シヌクレイン蛋白蓄積の増加を認めた。パーキンソン病では、最初ほとんどα-シヌクレイン蛋白蓄積がみられずその後も変化がないグループと辺縁系から全体にα-シヌクレイン蛋白蓄積が拡大していくグループがあることが判明した。すでに20名以上の多系統萎縮症ならびにパーキンソン病患者が[11C]BF-227 PET検査にエントリーしており、順次PET検査を施行し、今後eZIS以外の種々の画像解析ソフトを用いて解析を行う予定である。
3: やや遅れている
対象患者である多系統萎縮症ならびにパーキンソン病患者のピックアップ、各種評価、脳MRI検査施行まで本研究は順調に遂行できている。しかしながら、東日本大震災によるサイクロトロンの破損のため[11C]BF-227 PET検査に遅延が生じている。そのため、平成24年度にPETデータを収集し種々の画像解析ソフトを用いて統計解析を行う予定であったが、計画に遅れが生じている。
平成25年度において、さらに対象患者をピックアップし、簡易認知機能検査(MMSE)、重症度評価(UMSARS)、脳MRI検査(SPGR,T2WI,FLAIR)の各種評価を行い、被験者をエントリーする。また、すでにエントリーできている20名以上の多系統萎縮症ならびにパーキンソン病患者に[11C]BF-227 PET検査を順次施行し遅れを取り戻す。早急にPETデータを収集し種々の画像解析ソフトを用いて統計解析を行う予定である。
次年度使用額は、東日本大震災により当初計画していたPET検査とPETデータ解析の遅延によって生じたものであり、遅延したPET検査とPETデータ解析に必要な経費として平成25年度請求額とあわせて使用する予定である。
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