研究課題
多系統萎縮症(MSA)の病理学的特徴はグリア細胞質内封入体(GCI)であり、その主たる構成成分はα-シヌクレイン(αS)蛋白凝集体である。我々はMSAの生体脳内におけるαS蛋白凝集体の可視化を[11C]BF-227 PETを用いて世界で初めて可能にしてきた。しかしながら、生体脳内αS蛋白凝集体の経時的変化については、可視化・画像化ができておらず、その病態は不明のままである。平成26年度は4人のMSA同一患者において[11C]BF-227 PETを繰り返し施行し得られたPETデータを基に、生体脳内αS蛋白凝集体の経時的変化について画像解析ソフト(e-ZISソフト)を用いて統計解析を行った。4人のMSA-C患者はいずれも正常健常者群と比較して、レンズ核、大脳白質、前頭葉から頭頂葉かけての大脳皮質で[11C]BF-227の集積亢進を認めた。いずれの症例においても、病期の進行とともにこれらの領域の[11C]BF-227集積は増加・拡大していった。[11C]BF-227集積亢進を示したこれらの領域はMSAの病理でGCIが多い分布と一致しており、経時的変化も推定されているGCI蓄積変化と酷似していた。このように[11C]BF-227 PETによってMSAの生体脳内αS蛋白凝集体の蓄積量を経時的に測定できることが確認できた。MSAにおいて[11C]BF-227 PETが病期進行や治療効果の判定としてのサロゲートマーカーに応用できる可能性が示唆された。
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)
Neurobio Dis
巻: 71 ページ: 1-13
10.1016/j.nbd.2014.07.014.
J Biol Chem
巻: 289 ページ: 18137-18151
10.1074/jbc.M113.529461.
Case Rep Neurol
巻: 6 ページ: 92-95
10.1159/000362119.
J Parkinsons Dis
巻: 4 ページ: 181-187
10.3233/JPD-130277.
J Neurol
巻: 261 ページ: 825-827
10.1007/s00415-014-7271-5.