研究課題/領域番号 |
23591267
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
桑原 聡 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70282481)
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研究分担者 |
三澤 園子 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30375753)
伊藤 彰一 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (60376374)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 国際情報交流 / オーストラリア |
研究概要 |
疼痛の客観的評価に関する研究実績の概要は以下のように進んでいる。(1)痛覚線維選択的刺激による脳誘発電位:正常対照30名、疼痛患者25名において施行した。疼痛患者における痛覚誘発脳電位は遅延・低下と亢進の二つのパターンがあり、末梢神経障害による痛覚伝導路の障害による機能低下と痛覚過敏に対応していると考えられる。(2)コンピューター制御軸索興奮性測定による末梢神経のイオンチャンネル評価:正常対照100名、疼痛患者30名において施行した。末梢神経障害性疼痛患者では軸索持続性Na電流が増加しており、このために軸索興奮性増大・自発発射によって疼痛が惹起されていることを指示する結果であると思われる。現在、Naチャネル阻害剤による治療効果を検討中である。(3)脳血流SPECTによる大脳辺縁系の変化:正常対照10名、疼痛患者5名で施行した。正常対照が20名になると、統計的画像解析が可能になるため現在症例を集積中である。慢性疼痛の初期イベントは末梢神経におめるNaチャネネルの強発現と軸索興奮性増大であり、慢性経過中に徐々に中枢の感作が進展することが予想される。この仮説を確かめるべく、末梢神経から脳の機能変化について体系的検討を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
疼痛の客観的評価に関する研究実績の概要は以下に示すように、概ね順調に進んでいると考える。(1)痛覚線維選択的刺激による脳誘発電位:正常対照30名、疼痛患者25名において施行した。目標症例数は正常対照40名、疼痛患者40名であり、既に目標症例数の半数に達している。順次解析を進める予定である。(2)コンピューター制御軸索興奮性測定による末梢神経のイオンチャンネル評価:正常対照100名、疼痛患者50名において施行した。目標症例数は正常対照100名、疼痛患者40名であり、既に正常対照における検討は目標症例数に達している。また疼痛患者における検索も半数に達している。この結果は今年度中に公表予定である。(3)脳血流SPECTによる大脳辺縁系の変化:正常対照10名、疼痛患者5名で施行した。統計的画像解析のために必要な正常対照の目標症例数は20名であり、現在半数に達している。疼痛患者における症例を集積中である。
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今後の研究の推進方策 |
疼痛の客観的評価に関する研究のさらなる推進は以下のように予定している。(1)痛覚線維選択的刺激による脳誘発電位:正常対照30名、疼痛患者25名において施行した。疼痛患者における痛覚誘発脳電位は遅延・低下と亢進の二つのパターンがあり、末梢神経障害による痛覚伝導路の障害による機能低下と痛覚過敏に対応していると考えられる。今年度中に症例数を増やしてこの結果を確認する。(2)コンピューター制御軸索興奮性測定による末梢神経のイオンチャンネル評価:正常対照100名、疼痛患者30名において施行した。末梢神経障害性疼痛患者では軸索持続性Na電流が増加しており、このために軸索興奮性増大・自発発射によって疼痛が惹起されていることを指示する結果であると思われる。疼痛患者に対してNaチャネル阻害剤による治療効果を検討中である。次年度中に持続性Na電流定量による治療効果の客観的判定を行っていく。(3)脳血流SPECTによる大脳辺縁系の変化:正常対照10名、疼痛患者5名で施行した。正常対照が20名になると、統計的画像解析が可能になるため現在症例を集積中である。慢性疼痛の初期イベントは末梢神経におめるNaチャネネルの強発現と軸索興奮性増大であり、慢性経過中に徐々に中枢の感作が進展することが予想される。この仮説を確かめるべく、末梢神経から脳の機能変化について体系的検討を進めている。
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次年度の研究費の使用計画 |
疼痛の客観的評価に関する研究に関して次年度の研究費使用は以下のように予定している。(1)痛覚線維選択的刺激による脳誘発電位:痛覚線維選択的刺激電極、記録電極(約60万)。正常ボランティアへの謝金。(2)コンピューター制御軸索興奮性測定による末梢神経のイオンチャンネル評価:刺激・記録電極、サナログ・デジタル変換ボード維持費。一尾の結果について次年度中に国際学会にて公表するための旅費。
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