研究課題
(1)痛覚線維選択的刺激による大脳誘発電位:表皮内電気刺激法により小径有髄線維と無髄線維をそれぞれ選択的に刺激して頭頂部から大脳誘発反応を記録した。正常対照50名において施行し、小径有髄線維刺激、無髄神経刺激に対してそれぞれ独立した痛覚誘発電位が導出されることを確認し、正常対照における反応パターンと潜時、振幅の正常所見を確立した。慢性疼痛を有する患者を含めて40名の末梢神経障害患者において同様の痛覚刺激誘発脳電位を記録した。慢性疼痛を有する患者では痛覚刺激による脳反応が亢進することを確認した。疼痛患者において小径有髄線維刺激誘発電位の振幅は低下するが、無髄線維刺激誘発電位の振幅は相対的に保たれ、結果として無髄神経を介する反応が小径有髄線維による活動に対して優位となり、これが疼痛発現の機序の一つとなっている可能性を示した。小径線維刺激による誘発反応の振幅と臨床的な疼痛スケールが相関したことから、慢性疼痛には無髄神経を介する疼痛伝達系が関与していることが示された。(2)コンピューター制御軸索興奮性測定によるイオンチャネルの変化:正常対照100名、慢性疼痛を有する患者を含む末梢神経障害患者50名で施行した。慢性疼痛患者では軸索持続性ナトリウム電流が亢進している所見が得られ、疼痛の末梢性機序を反映しているものと思われた。(3)脳血流SPECTによる大脳活性化の検討:正常対照15名、疼痛患者7名で施行した。正常対照が20名に達すると統計解析が可能となる。現時点で大脳辺縁系の血流増加を呈する慢性疼痛患者が存在することを確認し、慢性疼痛における中枢性感作を反映するものと思われた。
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Clinical Neurophysiology
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