研究課題/領域番号 |
23591273
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
松本 理器 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00378754)
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研究分担者 |
池田 昭夫 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (90212761)
澤本 伸克 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90397547)
松橋 眞生 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (40456885)
國枝 武治 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (60609931)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 機能的結合 / 皮質皮質間誘発電位 / 高周波律動 / 睡眠 / てんかん / 皮質間ネットワーク / 安静時機能的MRI / 意識変容 |
研究概要 |
H23年度は、難治部分てんかんのてんかん外科の術前評価のために硬膜下電極を慢性留置する患者で、研究への参加の同意を得た患者において、生理的な意識変容(睡眠)のネットワーク動態について研究を進めた。具体的には、安静時機能的MRI(rs-fMRI)により覚醒時(安静状態)の意識維持にかかわる脳内ネットワーク(Default Mode Network)を同定し、侵襲的計測として、皮質皮質間誘発電位(CCEP)を指標に、覚醒度の変化(覚醒~深睡眠、レム睡眠)に伴う皮質間ネットワークの動的変容の評価を試みた。解析の第一段階として、皮質の解剖構築の観点から、一次感覚運動野および大脳皮質連合野における睡眠時の動的変容の差異につき検討した。CCEPの振幅・潜時の検討からは、覚醒時と軽睡眠・深睡眠では、皮質間の機能結合性が異なり、また覚醒時とレム睡眠期では同様の機能的結合性がみられた。細胞構築的には、一次感覚運動野と連合野においては軽・深睡眠時の機能結合性の変容が異なり、連合野において皮質間結合性が増大する傾向が見られた(国内・国際学会発表予定)。 これまで皮質間の機能結合性の指標として皮質単発電気刺激により白質線維を介して記録される皮質誘発電位(CCEP)を用いてきたが、近年脳内情報処理に関わると注目されている高周波律動(HFO)についての基礎的検討を開始した。一次感覚野における体性感覚誘発電位に伴う高周波律動(SEP-HFO)とCCEPにともなうHFO(CCEP-HFO)を比較検討した。垂直伝播(SEP) に伴う高周波律動(SEP-HFO)に比し、水平伝播にともなうCCEP-HFOではより低い周波数(200Hz帯域前後)での情報処理がなされていることを明らかにした(国内学会発表、国際学会発表予定、論文準備中)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
生理学的な意識変容である睡眠に関しては、初年度に皮質構築・睡眠深度による皮質間ネットワークの変容について明らかにした。2年目以降に予定する覚醒時(安静状態)の意識維持にかかわる脳内ネットワーク(Default Mode Network)の動的変容の解明の予備的研究として位置づけられる。 長期的な意識変容の病態モデルとして視床下部過誤腫によるてんかん症候群のてんかん性脳症があげられるが、初年度からてんかん外科術前の機能的MRIによるデータ収集を開始している。術後てんかん性脳症改善時の神経画像的検討を予定しているが、その予備的研究として評価される。
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今後の研究の推進方策 |
1)生理的な意識変容(睡眠)のネットワーク動態の解明非侵襲的計測として、rs-fMRIにより覚醒時(安静状態)の意識維持にかかわる脳内ネットワーク(Default Mode Network、視床・大脳皮質ネットワーク)を同定し、同時計測の脳波による睡眠期プロファイリングから、覚醒度(覚醒~深睡眠)に伴う上記ネットワークの動的変容を評価する。侵襲的計測として、CCEP, CCEP-HFOを指標に覚醒~深睡眠にかけての機能的結合性の変容を解明する。次に、侵襲的計測で同定される覚醒時のネットワークの分布および睡眠時における機能的結合性の変容と照合して、rs-fMRIによる機能的結合性の妥当性・意義を検証する。またこれらの検討は、てんかん患者での脳内ネットワークの評価であり、てんかん原性の観点からは、睡眠中のてんかん性放電・発作の増加の現象(特に前頭葉てんかん)が知られており、てんかんネットワークの睡眠時の変容についても同様の手法を用いて明らかにする。2)てんかん病態下の意識変容にかかわる脳内ネットワークの可視化と動態評価法の確立一過性の意識変容のモデルとして環状20番染色体症候群、長期的な意識変容のモデルとして視床下部過誤腫によるてんかん症候群のてんかん性脳症を取り上げる。てんかん性放電を意識減損にかかわる脳波プロファイルとして脳波・機能的MRI同時計測(EEGfMRI)を施行し、これらのモデルにおける意識変容にかかわる脳内ネットワークを明らかにする。また、視床下部過誤腫症例の外科治療前後で神経機能画像を撮像し、てんかん脳症の改善の前後で意識変容にかかわるネットワークを検討することによりその動態評価を試みる。
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次年度の研究費の使用計画 |
収集した各種データはネットワーク型ハードディスク (設備備品費)に保存する。EEGfMRI, rs-fMRIで撮像した画像データの解析をワークステーション(設備備品費)上で画像解析ソフトウェア (消耗品費)を用いて行う。皮質誘発電位・脳波信号の解析は、脳波解析用ワークステーション(設備備品費)上で、生体信号解析ソフトウェア(消耗品費)を用いて行う。MRI撮像(ヘリウム使用代)およびEEGfMRI計測(特殊脳波帽子、電極、固定枕、特殊ジェル)の消耗品を毎年補充する。正常被験者でのEEGfMRI, rs-fMRI撮像を行うにあたり謝金を支払う。得られた研究成果を国内外の学会で発表し(研究成果発表:外国旅費・国内旅費)、学術論文にまとめる(投稿費用・別冊代)。
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