研究課題/領域番号 |
23591275
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
池田 昭夫 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (90212761)
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研究分担者 |
宮本 享 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70239440)
松本 理器 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00378754)
澤本 伸克 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90397547)
松橋 眞生 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (40456885)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 発作時DC電位 / 高周波律動(HFO) / 難治てんかん / グリア細胞 / グリオーシス / てんかん焦点 / 広域周波数脳波活動 |
研究概要 |
本研究では、てんかん手術のために脳内に留置された電極からの広域周波数脳波解析からDC電位, 高周波律動(HFO)、3TMRIの異常所見を統合的に解析することにより、画像上のグリオーシスとグリア細胞関連と考えられるDC電位の関連、さらにHFOとてんかん原性の関連を明らかにして、てんかん原性におけるグリアと神経細胞の密接な関連を明らかにすることを目標とした。 難治の部分てんかんの手術療法のために、2週間脳表面にてんかん焦点検索のために留置した硬膜下電極から、増幅器の性能として時定数10秒、入力インピーダンス200メガオーム以上、sampling rate2000Hz以上の性能を有するデジタル脳波装置(現有設備)で記録された発作時DC電位、HFOの分布を時系列を解析して、両者の比較を各患者で定量的に行い、今までに14名の患者での検討が終了した。 その結果、1)DC電位は64%の患者での陽性率、HFOは43%の患者での陽性率を示した。2)従来の発作時脳波変化が認めない症例においてもDC電位とHFOが陽性になる場合があり、高い感度と特異度を示した。3)両者の出現部位は数個の電極範囲に共通して限局し高い空間的特異性を示した。4)DC電位の出現時間は、HFOと従来の発作時脳波変化より先行する傾向を示し、時間的に高い感度を示唆した。5)病理所見との比較は、DC電位とGliomaとの密接な関連が示唆されたが、今後の症例の蓄積を要した。 以上より、従来の発作時脳波変化と比較して、グリアの活動を反映するDC電位は、神経細胞の高頻度発火状態を反映するHFOよりむしろ先行する傾向がある以外に、両者ともに同等に高い感度と特異度を示し、難治化したヒトのてんかん焦点におけるグリア細胞の積極的な関与が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
3年間の計画のうち、1年目は予定通りに進んでいる.今後は、3TMRIでのてんかん焦点のグリオーシスの分布を3次元解析装置で定量化局在化させることを進めて行き、上記のデータとのcoregistrationをはかり、DC電位、HFO、グリオーシスの3因子の関連を明らかにする予定である。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度の方法を継続していき、特に3TMRIでのてんかん焦点のグリオーシスの分布を3次元解析装置で定量化局在化させることを進めていく。同時に、初期計画のように、全頭型MEGでの検討として全頭型MEGを用いて同様の計測を試みる。
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次年度の研究費の使用計画 |
物品費、旅費、人件費・謝金、その他は、当初の計画とおりに、それぞれ500,000円、300,000円200,000円100,000円として、予定通りの研究を継続する。
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