研究課題/領域番号 |
23591275
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
池田 昭夫 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (90212761)
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研究分担者 |
宮本 享 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70239440)
松本 理器 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (00378754)
澤本 伸克 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90397547)
松橋 眞生 京都大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (40456885)
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キーワード | 発作時DC電位 / 高周波数律動 / てんかん焦点 / グリア細胞 / 神経細胞 |
研究概要 |
発作時DC(direct current)電位と呼ばれる緩徐な脳波活動 (Ikeda et al, 1996)の発生機構には、1)遷延する突発性脱分極変位、2)錐体細胞の興奮後の細胞外カリウム濃度の上昇に伴う周囲のグリア細胞群の受動的な脱分極、さらに3)グリア細胞自体の能動的脱分極が関与すると近年理解される。また高周波数律動(HFOs)と共に、ヒトのてんかん原性の指標と示唆される(Imamura et al, 2011)。難治部分てんかん患者での発作時DC電位と病理学的所見との関連、HFOsとの相関を解明する為、当施設における硬膜下電極留置症例16例の脳波記録を解析した。 1)発作時DC電位を16名中11症例で認め、11名の患者での出現頻度は82.4±26.7 (20.0-100.0)%であった。 2)病理所見との相関:発作時DC電位は上記の病理所見毎に①神経膠腫 4例中3例(75.0%)、②低悪性度神経上皮性腫瘍 1例中1例(100.0%)、③皮質異形成9例中6例(66.7%)、④海馬硬化2例で1例(50.0%)で認めた、一方HFOsは同様に①2例(50.0%)、②1例(100.0%)、③2例(22.2%)で認めた。特に①のうち皮質異形成を伴う2症例で発作時DC電位、HFOsを90-100%で認めた。 3)発作時DC電位、HFOs、通常の発作時脳波所見の時間的関係:発作時DC電位とHFOsをともに認めた5例ではDC電位がHFOsより-4.0±3.2 秒の範囲で先行した。 4)局在性:10例中9例で、発作時DC電位あるいはHFOsを、通常脳波より限局した範囲に認めた(平均:通常脳波変化は 19.5±17.4、発作時DC電位は 9.2±11.9、HFOsは 14.3±8.1電極)。1例で焦点近傍の白質内の深部電極から発作時DC電位が記録されたが、HFOsは認めなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
発作時DC電位とHFOsを直接比較することを、てんかん焦点の病理組織別に傾向を検討することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、最終年度として従前の計画に沿って研究を進める。症例数を増やして発作時DC電位とHFOsの関連をより明確にすることと、両者の電気生理学的マーカーと画像所見との相関を明らかにして行くことで、電気生理、画像、病理の相互関連を最終的に明らかにしていく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
物品費(400,000円)ならびに人件費(100,000円)、その他(100,000円)を使用する事によりデータを処理し、その成果を学会等(旅費200,000円)で報告する。最終年度としてその成果のまとめを報告する。
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