研究実績の概要 |
当科外来通院中のパーキンソン病患者32名(女性23名、男性9名。 平均年齢73.4 ± 2.1歳(平均H-Y 2.2)を対象に ①MRIを用いた傍脊柱筋(ES)の筋萎縮と脂肪混在の程度 ②近赤外線スペクトログラフィ- (NIRS)を用いた体位変換時の傍脊柱筋内の組織内血流量、酸素化ヘモグロビン量 (Oxy-Hb),脱酸素化ヘモグロビン量 (Deoxy-Hb)、組織内酸素濃度(St O2)を検討した。その結果、パーキンソン病患者では、ESのうち最長筋の萎縮が著明であり、43.7%の症例では中等度以上の脂肪混入が確認された。また、健常人と異なり、背筋の筋固縮が高度なパーキンソン症例では、前屈位から正中位への姿勢変換時にES内のTotal-Hb, Oxy-Hb StO2量が増大せず、ESが継続的虚血状態に陥っていることを初めて見出した。さらに、別集団のパーキンソン病患者34名(女性22名、男性12名。平均年齢73.2±6.3歳(平均H-Y 2.5)を対象に①腰椎X線および腰椎MRI(T1,T2,FS)を撮影し側彎の有無を検討し、②特に、側彎症を有する症例では、傍脊柱筋の脂肪混在の有無およびその混在パターンを評価し臨床症状と比較した。その結果、パーキンソン患者では、70%の症例で側彎症が存在し、側彎症例の75%には、傍脊柱筋に脂肪混在を認めた。脂肪混在は、傍脊柱筋にびまん性または側彎の凸側の最長筋や腸肋筋に局所的に浸潤し、脂肪の局所浸潤部には浮腫性変化が混在することが確認された。側彎症を有し、脊柱起立筋の脂肪混在が高度な症例ほどH-Yや姿勢障害が高度でADL障害があった。
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