研究課題
主幹動脈の狭窄・閉塞によって生じた虚血に対して、血管新生を惹起・促進することで血流改善を図り、脳梗塞を予防する治療法が試みられている。われわれは、虚血部の脳表を被覆する人工血管シートを作成し、人工的に側副血行路を形成、その後に作成した中大脳動脈による脳梗塞が縮小する効果を得た。作成には移植細胞の拒絶が起きないように、免疫不全マウス(severe combined immunodeficient (SCID) mouseを用いた。あらかじめコラーゲンの中にGFPでラベルしたヒト脳微小血管内皮細胞および間質前駆細胞10T1/2を撒き込みディッシュ上で膜状にし、人工血管シートの準備をした。マウスの頭頂骨を開窓し硬膜を切除したうえで軟膜の上に、人工血管シートを載せさらに観察用の頭窓を装着して開窓部を閉鎖した。この状態で経時的に血管新生を観察すると、3日目には内皮細胞は互いに連結しあい血管系の基礎が形成された。さらに5日目には血管に管腔構造が認められ、7日目には人工血管内に血流が認められた。血流の確認には、赤血球をラベルして血球成分の通過を確認する方法、さらにrhodamine-dextranにて血漿成分をラベルして人工血管内が染色される方法の2通りで確認できた。その上で、田村法により中大脳動脈を永久結紮したところ、脳梗塞巣は著明に縮小した。結果については、2011年日本脳循環代謝学会にて報告し、脳循環代謝 23: 90-94, 2012にて論文掲載した。また2013年神経学会シンポジウム「脳梗塞急性期の抗凝固療法・抗血小板療法」において急性期治療の今後の可能性として成果を発表し、臨床神経,53:1172-1174,2013に論文掲載した。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)
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