研究課題/領域番号 |
23591283
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
河村 満 昭和大学, 医学部, 教授 (20161375)
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研究分担者 |
小早川 睦貴 昭和大学, 医学部, 普通研究生 (80445600)
金野 竜太 昭和大学, 医学部, 助教 (70439397)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 辺縁系 / 社会行動 / パーキンソン病 / 筋強直性ジストロフィー / voxel-based morphometry |
研究概要 |
本研究では「大脳辺縁系の機能」と「ヒトの社会行動」との関連について、臨床神経心理学的に検討する。今年度は、辺縁系に病変を有する疾患である、パーキンソン病、筋強直性ジストロフィーを対象として、辺縁系機能を検討した。日常的な社会行動機能を測定するために、アイオワギャンブリング課題や失言課題を用いた検討を行った。対象疾患例において3テスラ構造MRI を昭和大学病院において撮像し、このデータを元にvoxel-based morphometry を行った。この手法を用いて、脳内の部位ごとの体積変化を定量的に分析したところ、予備的な結果として、健常者とパーキンソン病では内側眼窩前頭皮質などの体積が低下していることが示唆された。また、パーキンソン病ではアイオワギャンブリング課題における成績が外側眼窩前頭皮質の体積と相関していることが示唆された。これらの内容は、関連学会において発表された。一方、筋強直性ジストロフィーにおいて失言課題や眼差し課題など、心の理論に関する検討を行った。これらの課題では、前後の文脈や他者の視線などから、他者の心の状態を推測することが要求される。課題の結果、筋強直性ジストロフィーでは他者心理の読取りが言語、非言語いずれの方法によっても困難となっていることが示された。この結果については、既に関連する国際誌に掲載されることが決定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
パーキンソン病における検討では、当初の目的どおり、既に社会行動的指標と脳体積との相関を測る手法について、その妥当性を確認しており、さらに予備的な結果を得る段階に入っている。今後はこの結果の妥当性、および他の指標において同様の結果が得られるか否かを検証していく必要があるが、既に確立された手法で堅実に結果を得られることが期待できる。また、同様の手法を筋強直性ジストロフィーやその他の疾患に適用することも可能であるため、さらに検討を広げていくことができると予測できる。とくに、筋強直性ジストロフィーにおいては、低下を示す社会行動指標について検討が進んでおり、既に国際誌への投稿を行った段階に入っており、スムーズに神経基盤の検討が行えると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに検討目標となる解析手法や、その流れを確立している。よって、今後も継続して同様の検討をすすめるほか、症例数の確保、および検討疾患の拡大など、多面的に検討を広げていく必要があると考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究手法に関する予備的な結果や、行動指標に関するデータを公表してきたものの、国内外での学会発表、および雑誌への投稿が不足していた。このため、次年度以降はこうした公表準備を鋭意進めていく。とくに、国際学会、国際誌への投稿を増加していくために、出張費および投稿準備料などに重点をおき、研究費を使用していく。
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