研究課題/領域番号 |
23591284
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
市川 博雄 昭和大学, 医学部, 准教授 (70296953)
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研究分担者 |
河村 満 昭和大学, 医学部, 教授 (20161375)
金野 竜太 昭和大学, 医学部, 助教 (70439397)
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キーワード | 筋萎縮性側索硬化症 |
研究概要 |
背景:ALS患者の自己洞察力の欠如あるいは病識欠如についてDeckelら (1996) による自己評価式anosognosia scale (AS) を用いてこれまで検討してきたが,AS評価点と脳萎縮の程度の関連および経時的な脳萎縮進行度との関連についてさらに検討を加えた. 対象・方法:ASを施行した認知症の有無を問わないALS患者16例(59~87歳,男性9例,女性7例)を対象に,AS評価点と脳CTにおける脳萎縮の指標とを対比した.脳CTにおける脳萎縮の指標としては,両側側脳室における前角および下角の最大面積(左右合計)を計測し,経時的面積増加率 =(最終脳CT上の面積-書字サンプル取得時脳CT上の面積 (mm2) )/CT施行の間隔(月)を算出した.ASは日常生活動作に関する自己評価と他者評価との差を評価点(-32~32点)としており,高得点ほど病識欠如を意味する. 結果:AS評価点は-4~18点であり,認知症のないALS 8例で-4~3点,認知症を伴うALS 8例で3~18点であった (P =0.0011).また,AS評価点は前画面積 (r =0.704, P =0.0016) および下角面積 (r =0.898, P <0.0001) と有意な相関を示した.一方,経時的面積増加率を検討できた認知症のない7例において,AS評価点は下角面積増加率 (r =0.754, P =0.0496) と有意な相関を示したが,前角面積増加率 (r =-0.166, P =0.7111) とは相関しなかった. 結論:ALSにおけるAS評価点は前頭側頭葉の萎縮を反映する前角および下角の拡大と相関することを見出した.認知症のないALSにおいても,軽度のAS評価点増加は脳萎縮の進行を予見する可能性を示した.本検討結果については学会で発表するとともに英文誌に投稿受理された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
同大学内の勤務地移動により,症例の確保が予定より進まず,現在症例の蓄積を進めている.また,研究遂行における学内の倫理委員会・医学研究審査委員会での承認を進めている.MRIの統計画像処理のプロトコール通りの施行に関して,放射線科と協議している.
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今後の研究の推進方策 |
MRI統計画像の推進について放射線科の協力が得られたが,MRI統計画像以外にも従来施行してきたCT画像での計測を用いた検討も並行して行うこととする.
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次年度の研究費の使用計画 |
実験結果を記録するためのビデオを備品として,ビデオテープ,ディスクを消耗品として要する.また,データ解析用のパソコンを備品として,データ記録用の画像処理ソフト,データ解析用の統計処理ソフト,研究発表に際して使用するポインターを消耗品として購入する.
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