研究課題/領域番号 |
23591287
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
三品 雅洋 日本医科大学, 医学部, 講師 (70322518)
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研究分担者 |
鈴木 正彦 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (20266638)
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キーワード | パーキンソン病 / アデノシン受容体 / ドパミン / PET |
研究概要 |
アデノシンA2A受容体はドパミンD2受容体と相反する作用がある。アデノシンA2A受容体拮抗薬はジスキネジア発現が少ない治療薬として期待され、本邦でも製造承認がおりた。東京都健康長寿医療センター研究所はアデノシンA2A受容体を画像化する放射性薬剤11C-TMSXを開発、世界に先駆け、ヒトでのアデノシンA2A受容体PETに成功している。これまで、未治療のパーキンソン病のアデノシンA2A受容体分布は健常者と有意な違いはなかったが、パーキンソニズムの左右差に着目すると重症側で低下していることを見いだした。これは、重症側で結合能が増加するドパミンD2受容体と逆の現象である。さらに抗パーキンソン病薬による治療開始後、被殻アデノシンA2A受容体分布容積が増加し始めることが明らかになった。本研究では、振戦やジスキネジアなど運動症状と被殻アデノシンA2A受容体分布を調べた。 パーキンソン病患者16例および老年健常者6例に11C-TMSX PETを行った。症状の評価はUnified Parkinson’s Disease Rating Scale(UPDRS)を用いた。症例を蓄積中だが、来年度国際学会で発表する予定である。 また、未治療例におけるアデノシンA1受容体の変化についても検討を開始した。パーキンソン病患者10例および老年健常者10例に11C-MPDX PETを行った。しかし、アデノシンA2A受容体で見られたような左右差はなかった。アデノシンA1受容体は直接路のドパミンD1受容体の調節などに関与するとされているが、アデノシンA2A受容体やドパミンD2受容体と比べると、ドパミン分泌低下に対するアデノシンA1受容体の代償は少ないのかもしれない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
症例の蓄積は予定通り進み、来年度には学会報告できる予定である。論文も来年度に完成させる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通り、検査データを蓄積し、来年度までにはデータ解析を終了し、成果を論文化する。
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次年度の研究費の使用計画 |
シドニーで開催されるthe 17th International Congress of Parkinson's Disease and Movement Disordersにおいて成果を報告するとともに、PET検査ならびにデータ解析に必要な消耗品を購入する。
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