研究課題/領域番号 |
23591290
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研究機関 | 独立行政法人国立病院機構刀根山病院(臨床研究部) |
研究代表者 |
齊藤 利雄 (斉藤 利雄) 独立行政法人国立病院機構刀根山病院(臨床研究部), その他部局等, 研究員 (60538776)
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研究分担者 |
大平 充宣 同志社大学, 付置研究所, 研究員 (50185378)
藤村 晴俊 独立行政法人国立病院機構刀根山病院(臨床研究部), その他部局等, その他 (20263246)
松村 剛 独立行政法人国立病院機構刀根山病院(臨床研究部), その他部局等, 研究員 (30549366)
佐古田 三郎 独立行政法人国立病院機構刀根山病院(臨床研究部), その他部局等, その他 (00178625)
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キーワード | Duchenne型筋ジストロフィー / 微小循環障害 / 末梢血血管内皮前駆細胞: / ホスホジエステラーゼ5阻害剤 |
研究概要 |
Duchenne型筋ジストロフィー(DMD)の筋崩壊は,ジストロフィン欠損によりひきおこされる筋線維脆弱性が主要因と考えられているが,その病態・病状進行には,血管平滑筋機能異常に起因する筋血流の微小循環障害,低酸素・虚血状態が影響し,筋線維の壊死・崩壊を増悪させる可能性がある.本研究で検討した,血管機能維持の重要なマーカーとされる末梢血循環CD34陽性細胞数は,筋強直性ジストロフィーや健常コントロールに比し,低年齢層のDMDや脊髄性筋萎縮症の一部などで高値を示した.これにより,末梢血循環CD34陽性細胞数は,DMDの組織循環障害改善を目的とした治療の効果判定マーカーとなる可能性が考えられた.一方,血管新生マーカーとして知られるangiogeninは,DMDと健常コントロールの間に差はなく,DMDの病態への関与は明らかではなかった. Phosphodiesterase 5A阻害剤(PDE5阻害剤)は,筋血管平滑筋に作用し,マウスでの筋血流・臨床症状改善効果や,心筋症に対する効果が報告されているが,本研究では,7~17歳のDMD患者5例に,PDE5阻害剤シルデナフィルを最高投与量1.0mg/kgで2週間短期投与し,その安全性,投与前後での運動機能,呼吸機能,心機能,血清CK,末梢血CD34陽性細胞数の変化,Near-infrared Spectroscopy (NIRS)による筋血流を評価した.投与前後で,運動機能,呼吸機能,心機能に変化はなく,血清CKとCD34 陽性細胞数の変動の関係も明らかでなかった.また,NIRSによる筋血流測定は測定ごとの変動が大きく評価困難であった.しかしながら,臨床的に問題となる副作用は認めず,短期間投与での安全性は確認されたと考えられる.対象症例,投与法,評価項目再考の上,長期投与の有効性を評価する検討を計画したいと考えている.
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