研究課題
本研究の目的は、我々が新規に同定した血管内皮細胞、糸球体ポドサイトに特異的に発現している遺伝子、セマフォリン 3g (Sema3g)の機能解析である。Sema3gの機能解析のためノックアウトマウス(KOマウス)を作成し、ノックインしたLacZ遺伝子を指標に発現解析を行った所、予想外にSema3g遺伝子は膵β細胞にも高発現しており、さらにKOマウスでは空腹時血糖の上昇や肝臓において糖新生が亢進することを明らかにした。このSema3g遺伝子の解析を通して、糖代謝、血管機能、腎機能の理解を深め、糖尿病、肥満、高血圧、動脈硬化、慢性腎臓病といった生活習慣病の新しい診断方法、治療法開発を目指している。具体的には ① Sema3gの糖代謝に対する役割を明らかにする。② Sema3gの動脈硬化病変形成における役割を明らかにする。③ 新しいバイオマーカーとしてSema3gを用いることができるかを臨床検体を用いて検証することを目指している。昨年度は特に①に関して焦点をあて、膵β細胞から分泌されるSema3gが膵ラ氏島内における交感神経終末の配置に役割を担っている可能性を明らかにした。今年度は②に焦点を絞って解析を進めた。その結果、動脈硬化モデルマウスであるApoEノックアウトとSema3g KOとを交配し、高コレステロール負荷を行った所、ApoE/Sema3gダブルノックアウトマウスはApoEノックアウトマウスに比し、体重には変化を来さなかったが、動脈硬化巣のサイズは有意に拡大することを明らかした。さらに①、②のメカニズムや③の検討を進めるべくSema3gリコンビナント蛋白の作成を行い成功した。今後はSema3gリコンビナント蛋白を用いて交感神経終末に対する効果や動脈硬化巣形成におけるSema3gの役割を明らかにしてゆきたい。
2: おおむね順調に進展している
おおむね計画に則って行っている。
平成26年度も計画通り、① Sema3Gの糖代謝に対する影響を引き続き検討する。Sema3Gをアデノウイルスを用いて肝臓に過剰発現させた時の空腹時血糖に対する影響や糖負荷に対する反応を検討する。② ApoE/Sema3Gダブルノックアウトマウスの動脈硬化病巣増大メカニズムに関して検討する。現在、ApoE/Sema3Gダブルノックアウトマウスの動脈硬化巣の組織学的な検討や通常の動脈硬化巣におけるSema3GやSema3G受容体の発現様式を検討している。またリコンビナントSema3Gを用いて、血管内皮細胞、血管平滑筋細胞、単球・マクロファージに対する生物学的作用を検討する予定である。③Sema3Gの臨床応用として、ヒトSema3Gに対する3種類のペプチド抗体を用いて、ELISAの系を立ち上げて、糖尿病、脂質異常症、高血圧患者の血液中、尿中Sema3G濃度と各種臨床パラメーターとの関連を検討する。
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