研究課題
食生活の欧米化、車社会の発達による運度不足、社会不況に伴う精神的ストレスの増加によって、肥満、高血圧、脂質異常症、糖尿病、慢性腎臓病といった生活習慣病患者数の増加は現代日本が抱える大きな医療のみならず社会経済学的な問題である。我々は膵β細胞、血管内皮細胞、腎糸球体ポドサイトに発現する遺伝子としてセマフォリン 3G (Sema3G)を同定した。既にセマフォリンは様々な疾患の「鍵因子」として注目されている。そこでSema3Gの糖代謝異常、動脈硬化、腎臓病の発症・進展におけるSema3Gの役割を明らかにすることを本研究の目的とし、Sema3Gノックアウト(KO)マウスを作成しその表現型を解析した。その結果、1.Sema3GKOマウスでは膵ラ氏島周囲の交感神経終末に配列異常をきたし、膵β細胞から分泌されるSema3Gが膵ラ氏島内における交感神経終末の正確な配置に役割を担っている可能性を明らかにした。しかしながら、Sema3G KOはインスリン分泌能や感受性は野生型に比し差を認めなかった。2. ApoE KOマウスとSema3G KOとを交配し、高コレステロール負荷を行った所、ApoE/Sema3GダブルKOマウスはApoE KOマウスに比し、動脈硬化巣のサイズが有意に拡大し、in vitroで検討した結果、単球・マクロファージの増殖や内皮細胞への接着を抑制した。さらに3. Sema3GKOマウスに糖尿病や炎症刺激などを加えると腎障害が野生型に比し増悪することを明らかにした。このように本研究によってSema3Gが糖代謝、動脈硬化、腎臓病といった生活習慣病の発症・進展に関わる可能性が示唆された。今後さらにSema3Gをバイオマーカーとして使用できるか、Sema3Gを介した治療介入が可能かなどの命題に対して答えを見出してゆきたい。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件) 学会発表 (22件)
J Am Geriatr Soc
巻: - ページ: 印刷中
J Diabetes Res
Springerplus
10.1186/s40064-015-0863-4
Diabetes Care
Journal of Diabetes Invest
巻: 6(2) ページ: 182-191
10.1111/jdi.12282
巻: 62 ページ: 1404-1405
10.1111/jgs.12897
BMC Ophthalmol.
巻: - ページ: 14:31
10.1186/1471-2415-14-31