研究課題/領域番号 |
23591299
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
岡崎 由希子 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (30422299)
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キーワード | 骨格筋 / 心筋 |
研究概要 |
筋肉特異的Akt1/2 ダブルノックアウトマウス(M-Akt1/2 DKO)は平均4週で死亡するため、Akt1 Akt2ダブルノックアウトによる骨格筋への影響は十分に検討できなかった。そこで骨格筋特異的にAkt1およびAkt2をKOしたマウス(MLC-Akt1/2 DKO)を用い、Akt1 Akt2の骨格筋および糖代謝への影響に関する検討を行った。ウエスタンブロットにて、MLC-Akt1/2 DKOの骨格筋におけるインスリン刺激によるAktおよびその下流へのシグナルが障害されていることを確認した。 MLC-Akt1/2 DKOの組織標本の観察では、コントロールマウスと比較し、白筋優位の骨格筋量の減少とそれに一致したtype 2ファイバーの減少を認めた。またMLC-Akt1/2 DKOの骨格筋における遺伝子発現では、コントロールマウスと比較し、ミトコンドリア関連遺伝子の発現低下を認めた。 普通食下におけるブドウ糖負荷試験では、高週齢において、コントロールマウスと比較しMLC-Akt1/2 DKOにて耐糖能の悪化を認めた。また、インスリン負荷試験でも、高週齢において、コントロールマウスと比較しMLC-Akt1/2 DKOにてインスリン抵抗性の増加を認めた。 ここまでの検討により、骨格筋におけるAkt1とAkt2が、骨格筋重量の維持、およびミトコンドリア機能を介する糖代謝調節に重要であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究開始時にH24年度中に行う予定とした内容は、ほぼ実行できたと考えている。 MLC-Akt1/2 DKOの組織標本の観察では、コントロールマウスと比較し、白筋優位の骨格筋量の減少とそれに一致したtype 2ファイバーの減少を認めた。 またMLC-Akt1/2 DKOの骨格筋における遺伝子発現では、コントロールマウスと比較し、ミトコンドリア関連遺伝子の発現低下を認めた。 普通食下におけるブドウ糖負荷試験では、高週齢において、コントロールマウスと比較しMLC-Akt1/2 DKOにて耐糖能の悪化を認めた。また、インスリン負荷試験でも、高週齢において、コントロールマウスと比較しMLC-Akt1/2 DKOにてインスリン抵抗性の増加を認めた。 ここまでの検討により、骨格筋におけるAkt1とAkt2が、骨格筋重量の維持、およびミトコンドリア機能を介する糖代謝調節に重要であることが示唆された。
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今後の研究の推進方策 |
H24に行った研究にて、骨格筋におけるAkt1 Akt2が糖代謝調節に重要であることが示唆された。今後、糖代謝への影響について、条件を変えて検討していく予定である。STZを投与しインスリンシグナルが伝わらない状態にしたMLC1-Akt1/2 DKOにおける骨格筋量の変化、遺伝子発現の変化、糖代謝への影響等を検討したい。また、高脂肪食負荷にて2型糖尿病モデルに近似させたMLC1-Akt1/2 DKOの骨格筋量の変化、遺伝子発現の変化、糖代謝への影響等も検討していく予定である。 MLC1-Akt1/2 DKOの骨格筋をDNA チップにより網羅的発現解析を行い、発現が変化している遺伝子群に関して検討していきたい。 またMLC1-Akt1/2 DKOの表現系については、筋力測定等を施行し詳細に検討していく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
マウスの系統維持費、骨格筋の遺伝子発現関連研究を行う試薬の購入、学会発表等の費用として使用する予定である。
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