研究課題/領域番号 |
23591303
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研究機関 | 愛知医科大学 |
研究代表者 |
中村 二郎 愛知医科大学, 医学部, 教授 (40283444)
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研究分担者 |
磯部 健一 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20151441)
神谷 英紀 愛知医科大学, 医学部, 准教授 (70542679)
成瀬 桂子 愛知学院大学, 歯学部, 准教授 (30387576)
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キーワード | 糖尿病性神経障害 / iPS細胞 / 再生医療 / 細胞移植 |
研究概要 |
老化マウスiPS細胞より神経堤細胞(NCC)を誘導し、このNCの糖尿病性多発神経障害(DPN)に対する治療効果を検討する目的で以下の実験を行った。1) DRG neuronの初代培養を行い、神経突起の伸展をcontrol群、PA6維持培地添加群、NCC維持培地添加群で比較・評価した。2)STZ処置16週後、正常(N)及び糖尿病マウス(DM)の片側大腿筋及びヒラメ筋に1肢当りNCC 1×105個を筋注し、反対側には生食を投与した。3)治療4週後に、Neurometrを用いた足底知覚機能検査、下肢MNCV・SNCV測定、足底血流・毛細血管数測定及び表皮内神経線維密度の評価を行い、非治療群と比較した。 NC維持培地添群でDRG neuronの伸展が有意に促進された。NCC移植により、DMで低下した下肢知覚機能や下肢MNCV、SNCV(N; 42.5 ± 4.1 m/s, DM; 31.7 ± 3.3, DM+NCC; 37.6 ± 1.5)及び足底血流(N; 24.4± 1.7m/s, DM; 17.2 ± 1.4, DM+NCC; 20.1 ± 2.6)が改善。4) NCC移植により、DMで低下した表皮内神経線維密度(N; 55 ± 8.9 number/mm, DM; 27.5 ± 5.0, DM+NCC; 40.5 ± 5.1)や毛細血管数が増加。 以上より、iPS細胞由来NCC移植療法は、DPNに有用である可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定された以下の項目に関する検討が終了した。 1. 老化マウスiPS細胞由来神経堤細胞(NCC)が、神経突起の進展促進効果を有する。 2. NCC移植により、DMで低下した下肢知覚機能や下肢の感覚および運動神経伝導速度及び足底血流をが改善する。 3. NCC移植により、DMで低下した表皮内神経線維密度や毛細血管数が増加する。
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今後の研究の推進方策 |
STZ糖尿病マウスの組織学的異常に対するNCC移植療法による効果をさらに詳細に検討するとともに、移植された細胞の分布および分化について検討する。 さらには、糖尿病性神経障害に対する細胞移植療法により適した細胞系を確立する。
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次年度の研究費の使用計画 |
実験動物の購入費用および細胞の培養液および分化誘導薬剤の購入費用。 NCCの移植後の分布および分化を評価するための各種抗体の購入費用。 学会での成果発表のための旅費。
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