研究課題/領域番号 |
23591304
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
卯木 智 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (20378483)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | metabolic syndrome / 脂肪生検 |
研究概要 |
我々は、ヒト生検内臓脂肪組織および皮下脂肪組織を用いたマイクロアレイ解析により、肥満者の内臓脂肪において特異的に発現が増加する因子(遺伝子X)を新規に同定した。この因子は、in vitroでの検討により、インスリン抵抗性を引きおこす。さらに、マウスにおいて、過剰発現により体重増加、血糖値上昇をひきおこす。我々は2つのアプローチでこの因子の病態的生理的意義を検討している。第一は、遺伝子Xのノックアクトマウスを作成して、その表現系を検討すること、第二は、血中濃度測定系を確率し、血中濃度の病態的意義を明らかにすることである。【ノックアウトマウスの作成】Inducible RNAi knockdown systemを用いて、ノックアウトマウスを作成した。このシステムでは、ドキシサイクリン(DOX)投与により、遺伝子を後天的に欠失させることが可能である。作成したマウスの遺伝子発現を検討したところ、DOX投与により遺伝子はほぼ完全に欠失させることができた。しかし、DOX非投与下においても、遺伝子発現が約50%低下した。以上の結果から、DOX投与マウスはホモノックアウトモデル、DOX非投与マウスはヘテロノックアウトモデルに相当すると考えられた。来年度は作成したマウスの表現系を検討する。【血中マーカーとしての意義】我々は、ヒトの遺伝子Xの産物の血中濃度を測定できる高感度サンドイッチELISAを作成しており、一般住民を対象にした検討を行った。一般住民男性300名を対象に、遺伝子X遺伝子産物血中濃度と肥満度、内臓脂肪面積との相関を測定した。しかし、それらとの相関は認められなかった。以上の結果から、血中濃度は肥満度や内臓脂肪量脂肪とは相関せず、血中マーカーとしての意義は不明であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の根幹は、ノックアクトマウスを作成し、生体内での遺伝子Xの生理的・病態的意義を明らかにすることである。そのノックアウトマウスの作成が最も時間を要すると予想していたが、今年度中に作成に成功した。さらに、当研究室では、作成したマウスの表現系を解析する手法・実験方法・環境をすでに整えており、解析をすでに開始している。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は作成したノックアウトマウスの表現系(体重、摂餌量、熱産生、糖代謝、インスリン感受性、肝臓における糖新生に関わる酵素遺伝子発現)を詳細に検討する。さらに、本遺伝子の発現調節機構を解明することは、MetSへの介入方法を開発する上で重要と考えられる。しかし、本遺伝子の機能や発現調節についてはこれまでまったく報告がない。そこで、脂肪生検を施行した66名において、whole genome SNP解析を行い、その遺伝子情報と本遺伝子発現とを解析することにより、本遺伝子発現を調節している因子の同定を試みる。
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次年度の研究費の使用計画 |
マウスの飼育費、血液検査費用、遺伝子調製、RTPCR試薬、マイクロアレイ解析などに使用する予定。
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