研究課題
我々は、5名ずつの肥満者・非肥満者において、生検内臓脂肪組織および皮下脂肪組織を用いたマイクロアレイ解析により、30,500遺伝子の中から、肥満者の内臓脂肪において特異的に発現が増加する因子 CCDC3を新規に同定した(内臓脂肪で3.07倍、皮下脂肪で0.89倍)。2種類の肥満モデルマウス(高脂肪食負荷マウスおよびdb/dbマウス)における検討でも、内臓脂肪特異的に発現が増加していることを確認した。さらに、脂肪生検を行った43名での検討において、内臓脂肪組織におけるCCDC3遺伝子mRNA発現量は、BMIおよびウエスト周囲長と有意に正相関(r = 0.483, p < 0.001、およびr = 0.364, p < 0.05)したが、皮下脂肪組織における発現は相関しなかった。この因子は、シグナルペプチドを有しており、培養細胞にFLAG-tag遺伝子を過剰発現させ、抗FLAG抗体を用いたウエスタンブロット法にて、培養液に蛋白が分泌されていることが確認された。このことから、その血中濃度は内臓脂肪量を反映する可能性がある。すなわち、内臓脂肪量を推定するバイオマーカーとしての可能性がある。(論文掲載)さらに、この因子は、in vitroでの検討により、インスリン抵抗性を引きおこすという結果を得ている。マウスにおける検討では、過剰発現により体重増加、血糖値上昇をひきおこした。以上のことから、この因子は、脂肪細胞から分泌される新規のアジポカインである可能性が示唆された。CCDC3の生理的機能について検討するため、Inducible RNAi knockdown systemを用いて、ノックダウンマウスを作成した。しかし、2つの異なるシークエンスにより、RNAをノックダウンし、2系統のノックダウンマウスを作成したところ、異なる表現系を呈した。現在、さらにノックアウトマウスを作成して検討中である。
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Obesity
巻: 22 ページ: 1070, 1077
10.1002/oby.20645