研究課題/領域番号 |
23591308
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
藤本 新平 高知大学, 教育研究部医療学系, 教授 (00333576)
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研究分担者 |
稲垣 暢也 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30241954)
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キーワード | 膵B細胞 / TBP-2 / 糖尿病 |
研究概要 |
本研究では、TBP-2の生体内での制御機構とインスリン分泌障害・耐糖能障害における役割を明らかにすることを目的としている。申請者らは、肥満型糖尿病モデルob/obマウスではTBP-2欠損により体重減少をきたさずに、血糖値が著明に改善すること、膵β細胞でのTBP-2過剰発現は、UCP-2の転写活性の増加・過剰発現をもたらし、ATP産生障害・インスリン分泌障害をきたすことを明らかにし、Thioredoxin-binding protein 2 (TBP-2)が糖代謝制御に重要であることを示した。そこで、糖尿病状態の生体内でどのような因子が膵β細胞のTBP-2発現を調節しているのか、また膵β細胞におけるTBP-2過剰発現が耐糖能障害発現にどの程度寄与を明らかにするのが本研究の目的である。 すでに4系統について、膵β細胞特異的にTBP-2が過剰発現していることをmRNAレベル・蛋白レベルで確認しており、膵β細胞特異的TBP-2過剰発現マウス作製には成功し、うち2系統につき解析をすすめている。高脂肪食負荷条件下で経口ブドウ糖負荷試験において耐糖能低下を認めており、現在その機序について解析が進行中である。また組織学的検討で膵β細胞面積の減少傾向を認め、その機序についても検討中である。またin vivoにおける膵島TBP-2過剰発現をきたす因子の解析でも、高血糖が重要な因子であることを示唆する所見も得られており、さらに検討をすすめる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
膵β細胞特異的TBP-2過剰発現マウスの確立に成功したこと、表現型のちがいが経口ブドウ糖負荷試験で明らかになったことなど、端緒となる結果は得られていることが大きな進歩である。in vivoにおけるTBP-2の発現制御因子についても高血糖が重要な因子であることが示唆されており進展した。
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今後の研究の推進方策 |
腹腔内ブドウ糖負荷試験も実施し、インクレチンの関与についてもスクリーニングをすすめる。膵β細胞特異的TBP-2過剰発現マウスの単離膵島を用いグルコースやインスリン分泌によるインスン分泌の検討を行なう。組織学的に膵島におけるアポトーシス、増殖マーカー、酸化ストレスマーカーを検討し、膵β細胞面積低下の原因を探索する。
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次年度の研究費の使用計画 |
最終年度であり、引き続き、試薬・細胞培養器材・抗体などの消耗品費、情報収集・成果発表のための旅費を必要とする。
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