研究課題
本研究では、TBP-2の生体内での制御機構とインスリン分泌障害・耐糖能障害における役割を明らかにすることを目的としている。申請者らは、肥満型糖尿病モデルob/obマウスではTBP-2欠損により体重減少をきたさずに、血糖値が著明に改善すること、膵β細胞でのTBP-2過剰発現は、ATP産生障害・インスリン分泌障害をきたすことを明らかにし、Thioredoxin-binding protein 2 (TBP-2)が糖代謝制御に重要であることを示した。そこで、糖尿病状態の生体内でどのような因子が膵β細胞のTBP-2発現を調節しているのか、また膵β細胞におけるTBP-2過剰発現が耐糖能障害発現にどの程度寄与を明らかにするのが本研究の目的である。膵島におけるTBP-2が蛋白レベルで約4倍に過剰発現している膵β細胞特異的TBP-2過剰発現マウスを確立した。膵β細胞でのTBP-2過剰発現のみでは、著明な耐糖能障害はきたさないことが明らかとなった。しかし膵β細胞面積は膵β細胞特異的TBP-2過剰発現マウスで対照と比較し減少しており、膵β細胞量の制御に膵β細胞におけるTBP-2関与することが示唆された。高血糖・肥満きたしているob/obマウスにインスリン治療を実施し血糖を下げると膵島のTBP-2mRNAレベルは減少したが、骨格筋・肝臓のTBP-2蛋白レベルに著変はなかった。またインスリンを介さずに尿糖増加により血糖を下げるフロリジン投与でも膵島のTBP-2mRNAレベルは減少した。正常マウスに高脂肪食を15週間負荷すると体重は50%増加し血糖に変化はみられなかった。高脂肪食負荷により膵島TBP-2のmRNAレベルは変化なく、骨格筋、肝臓におけるTBP-2蛋白レベルにも著変はなかった。したがって肥満糖尿病モデルのTBP-2過剰発現において膵β細胞においては血糖が重要であることが判明した。
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (1件)
J Diabetes Investig
巻: 5 ページ: 19-26
10.1111/jdi.12124
Diabetes
巻: 62 ページ: 1996-2003
10.2337/db12-0903
巻: 62 ページ: 3033-3043
10.2337/db12-1242
Am J Physiol
巻: 305 ページ: F495-F509
10.1152/ajprenal.00642.2012