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2012 年度 実施状況報告書

1型糖尿病の病態解明と発症・進展予知への応用

研究課題

研究課題/領域番号 23591310
研究機関長崎大学

研究代表者

川崎 英二  長崎大学, 大学病院, 准教授 (70336171)

キーワード1型糖尿病 / 自己抗原 / 自己抗体 / 亜鉛 / 診断 / ラジオイムノアッセイ / エピトープ / 病型
研究概要

1. ZnT8抗体におけるaa325と1型糖尿病のフェノタイプ:
(1)昨年度に作成したZnT8/ZnT3キメラcDNAを用いて、RBA法により1型糖尿病発症時のZnT8抗体エピトープを検討した。(2)使用した1型糖尿病の検体は、急性発症型(81例)、緩徐発症型(30例)、劇症型(85例)の発症時に得られた血清である。(3)58%の急性発症1型糖尿病患者および20%の緩徐発症1型糖尿病においてZnT8抗体が検出されたが、劇症1型糖尿病患者には検出されず、劇症1型糖尿病のマーカーとしては有用でないことが明らかとなった。(4)ZnT8の325番目のアミノ酸をArg/TrpからGlnへ変更したところ、10歳以上発症例の59%で反応が消失したが、10歳未満発症例においては33%と有意に低かった。(5)1型糖尿病の発症年齢によりZnT8に対する液性免疫反応が異なることが明らかになった。
2.ZnT8抗体3次元エピトープの解析:
(1)昨年度ZnT8のC末端aa360-369(10残基)とaa325が立体エピトープを形成していることが明らかになったため、ZnT3 268-357/ZnT8 358-369のキメラ蛋白のaa325をZnT3のアミノ酸からZnT8のアミノ酸(R/W)にsite-directed mutagenesisにより置換した。(2)新たに作成したZnT3 268-357/ZnT8 358-369 (325R)またはZnT3 268-357/ZnT8 358-369 (325W)を用いて1型糖尿病患者血清との反応を検討したが、いずれの血清も反応を示さなかった。(3)以上からZnT8のC末端aa360-369(10残基)とaa325が形成する3次元エピトープには周囲のアミノ酸も関与し、ZnT8抗体エピトープがaa325だけに依存しているのではないことが明らかとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ZnT8のファージディスプレイライブラリーの作製が遅れおり、平成24年度中に完了できなかったため。

今後の研究の推進方策

早急にZnT8のファージディスプレイライブラリーの作製を進める。そして調整されたファージライブラリーによりZnT8抗体陽性の急性発症1型糖尿病および緩徐発症1型糖尿病患者のプール血清を用いて、抗体に結合性のあるファージをクローニングし、得られたZnT8 cDNAとradioligand binding assay(RBA法)を用いてZnT8抗体エピトープ解析システムを構築する。急性発症1型糖尿病および緩徐発症1型糖尿病患者血清が結合したファージより得られたZnT8抗体エピトープのcDNAを用いて、経時的に保存されている緩徐発症1型糖尿病血清にてZnT8抗体エピトープをRBA法により解析する。

次年度の研究費の使用計画

次年度の研究費のほとんどは、アイソトープや自己抗体測定に使用する試薬などの消耗品費としての使用を予定している。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (6件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] ZnT8 and type 1 diabetes.2012

    • 著者名/発表者名
      Kawasaki E.
    • 雑誌名

      Endocr J

      巻: 59 ページ: 531-537

    • DOI

      10.1507/endocrj.EJ12-0069

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Clinical and genetic characteristics of autoimmune polyglandular syndrome type 3 variant in the Japanese population.2012

    • 著者名/発表者名
      Horie I et al.
    • 雑誌名

      J Clin Endocrinol Metab

      巻: 97 ページ: E1043-E1050

    • DOI

      10.1210/jc.2011-3109

    • 査読あり
  • [学会発表] 膵島関連自己抗体の意義~抗体低値例の取り扱いも含めて~2013

    • 著者名/発表者名
      川﨑英二
    • 学会等名
      第47回糖尿病学の進歩
    • 発表場所
      四日市シティホテル(四日市市)
    • 年月日
      20130215-20130216
  • [学会発表] 糖尿病におけるインスリン療法2012

    • 著者名/発表者名
      川﨑英二
    • 学会等名
      第50回日本糖尿病学会九州地方会
    • 発表場所
      ホテルマリターレ創世(久留米市)
    • 年月日
      20121019-20121021
  • [学会発表] 1 型糖尿病の診断・予知マーカーの最近の進歩2012

    • 著者名/発表者名
      川﨑英二
    • 学会等名
      第50回日本糖尿病学会九州地方会
    • 発表場所
      ホテルマリターレ創世(久留米市)
    • 年月日
      20121019-20121020
  • [学会発表] Identification of linear and conformational epitopes for ZnT8 autoantibodies in type 1 diabetes2012

    • 著者名/発表者名
      Kawasaki E
    • 学会等名
      The 12th International Congress of the Immunology of Diabetes Society (IDS-12)
    • 発表場所
      ビクトリア(カナダ)
    • 年月日
      20120615-20120619
  • [学会発表] 1型糖尿病におけるZnT8抗体3次元エピトープの解析2012

    • 著者名/発表者名
      川﨑英二
    • 学会等名
      第55回日本糖尿病学会年次学術集会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(横浜市)
    • 年月日
      20120517-20120519
  • [学会発表] 1型糖尿病の自己免疫機序2012

    • 著者名/発表者名
      川﨑英二
    • 学会等名
      第85回日本内分泌学会学術総会
    • 発表場所
      名古屋国際会議場(名古屋市)
    • 年月日
      20120419-20120421
  • [図書] 糖尿病学の進歩2012(第46集)2012

    • 著者名/発表者名
      川﨑英二
    • 総ページ数
      89-91
    • 出版者
      診断と治療社

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公開日: 2014-07-24  

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