研究課題
1. ZnT8抗体と1型糖尿病の病型、罹病期間との関連:(1)昨年度までに確立したZnT8抗体のradioligand binding assayおよび1型糖尿病発症時からの保存血清を用いてZnT8抗体の陽性率を罹病期間ごとに検討した。(2)使用した1型糖尿病の検体は、急性発症1型糖尿病214例より得られた血清である。(3)これらの検体におけるZnT8抗体の陽性率を小児発症(≦15歳、108例)、成人発症(>15歳、106例)に分けて検討した。(4)その結果、小児発症の陽性率は発症時66.7%、罹病期間0-3年32.3%、4年以上15.4%と罹病期間とともに速やかに低下し、4年以上の陽性率はIA-2抗体に比べ有意に低かった。一方、成人発症例では36.8%、38.2%、21.1%と遷延化していた。(5)成人発症1型糖尿病ではZnT8に対する液性免疫反応が長期間残存することが明らかになった。2.新規ZnT8新規抗体測定法の評価:(1)英国のRSR社によりZnT8抗体の新規ELISA法が開発されたのをきっかけに、一般臨床におけるZnT8抗体測定を目的として、我々のradioligand binding assay(RBA)と比較検討した。(2)使用した検体は、1型糖尿病患者114例(急性発症60例、緩徐発症42例、劇症12例)およびIASP2012(Islet Autoantibody Standardization Program)における急性発症1型糖尿病50検体である。(3)ELISA-ZnT8抗体の陽性率は、急性発症71%、緩徐発症29%、劇症0%でありRBA-ZnT8抗体とほぼ同様の結果であった。ELISA-ZnT8抗体陽性を規定する独立因子は、20歳以下発症(OR 15.91、P<0.0002)、急性発症(OR 3.38、P<0.019)、IA-2抗体陽性(OR 3.75、P<0.014)であった。(4)両抗体測定法の一致率は、96.5%(κ統計量 0.928)と非常に良好であった。
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Acta Diabetol
巻: 51 ページ: -
10.1007/s00592-013-0532-4
World J Diabetes
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