研究課題/領域番号 |
23591316
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
木村 真理 横浜市立大学, 附属病院, 准教授 (40363840)
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研究分担者 |
寺内 康夫 横浜市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40359609)
中村 昭伸 横浜市立大学, 附属病院, 助教 (70552420)
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キーワード | 内臓脂肪 / インクレチン / ジペプチジルペプチダーゼ / ンスリン |
研究概要 |
2型糖尿病患者の膵島では、マクロファージの浸潤が健常者より多く認められる。膵島浸潤マクロファージが膵島に及ぼす影響を明らかにするために、マウスの腹腔マクロファージを接着させ、その同じ培養液中で、メッシュにて隔離したマウス単離膵島も培養し、単離膵島とマクロファージの共培養系を確立し、以下の検討を行った。 膵島とマクロファージの共培養により、膵島において炎症に関与するIL-1β、TNF-α、IL-6、CCL2、S100A8/A9のmRNA発現上昇が認められ、パルミチン酸の存在下ではS100A8/A9の発現はさらに上昇した。S100A8/A9は共培養12時間経過時点から急激な発現上昇を認めた。マクロファージにおいても、膵島との共培養によりIL-1β、TNF-α、IL-6、CCL2のmRNA上昇が認められ、パルミチン酸の添加によりそれらの発現はさらに上昇した。TLR4阻害ペプチドであるVIPERを添加すると、3者の共培養による膵島でのS100A8/A9の発現上昇は阻害され、IL-1β、TNF-α、IL-6、CCL2上昇も抑制傾向を示し、マクロファージでのIL-1β、TNF-α、IL-6、CCL2発現上昇も減少した。同様に膵島とマクロファージの共培養にLPSを添加するとIL-1β、TNF-α、IL-6、CCL2の発現上昇を認めた。マクロファージ非存在下では、膵島にパルミチン酸やLPSを添加しても、これらのmRNA発現上昇は認めなかった。 膵島とマクロファージの共培養条件下において、両者での炎症が惹起され、その炎症は脂肪組織より分泌される遊離脂肪酸により増強され、膵島、浸潤マクロファージ、脂肪組織の三者が、慢性炎症の増強において相互作用している可能性が示唆された。現在、オレイン酸などの不飽和脂肪酸の影響や、Exendin-4が膵島及びマクロファージの炎症に与える効果を検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
膵島、浸潤マクロファージ、脂肪組織の三者が、慢性炎症の増強において相互作用している可能性を見出した。今後はDPP-4阻害による膵島炎症抑制の可能性を検証していく。
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今後の研究の推進方策 |
DPP-4阻害が、血糖降下作用に加えて内蔵脂肪炎症の改善作用を有するという観点から、2型糖尿病患者においてもDPP-4阻害薬が内蔵脂肪炎症の改善作用を有することが示されれば、今後の糖尿病治療指針において重要なevidenceとなる。臨床展開研究を推進していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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