研究課題
糖尿病患者の膵島では、マクロファージ(以下MΦ)の浸潤が健常者より多く認められることが報告されているが、膵β細胞機能障害との関連性は未だ不明な点も多い。野生型マウスの腹腔MΦと単離膵島とを、メッシュにて隔離した状態で共培養する系を確立した。そこへTLR4を活性化する遊離脂肪酸であるパルミチン酸や低濃度LPSを添加し、膵島におけるmRNA発現変化について解析した。遊離脂肪酸の代わりに精巣上体脂肪由来の脂肪細胞を共培養した場合についても、同様にmRNA発現変化を解析した。また培地中のグルコース濃度を変化させた場合のmRNA発現変化も解析した。膵島とMΦの共培養により、膵島において炎症に関与するIL-1β、TNF-α、IL-6、CCL2、S100A8/A9のmRNA発現上昇が認められ、パルミチン酸の存在下ではS100A8/A9の発現はさらに上昇した。共培養にLPSを添加すると、膵島でのTNF-α、IL-6、CCL2の発現上昇を認めた。共培養にマウスから調製した脂肪細胞を加えると、膵島でのS100A8/A9の発現上昇を認めた。MΦ非存在下では、パルミチン酸やLPSを添加しても、膵島でのこれらのmRNA発現上昇は認めなかった。膵島とMΦの相互作用により、膵島のS100A8/A9遺伝子発現が上昇した。肥満・遊離脂肪酸濃度上昇・高血糖という糖尿病で認められる病態が、浸潤MΦを介した膵島におけるS100A8/A9の発現を上昇させることで、膵島の炎症を増悪させている可能性が想定された。S100A8/A9の発現上昇が、膵島の炎症を増悪させている可能性が想定された。
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