研究課題/領域番号 |
23591317
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
長谷川 剛二 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00295643)
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研究分担者 |
石神 昭人 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), その他部局等, その他 (50270658)
福井 道明 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (30247829)
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キーワード | 糖尿病合併症 / 糖尿病腎症 / SMP30 |
研究概要 |
加齢指標蛋白質30 (Senescence Marker Protein-30:SMP30)は加齢に伴い減少し臓器傷害の閾値を低下させることにより老化病態を引き起こす。一方、SMP30は哺乳類のビタミンC(VC)合成経路の酵素であるグルコノラクトナーゼと同一である。本研究では、SMP30の糖尿病性心筋症、腎症発症における役割を検討した。 <方法>8週令、雄SMP30ノックアウト(KO)、野生型マウス(WT)を用いストレプトゾシン誘発糖尿病(DM)を作成。VC欠乏の影響を除くためVC補充条件(VC(+);飲水中VC 1.5 g/l)で飼育した。糖尿病誘発12週後に尿アルブミン排泄、腎・心臓の病理組織、酸化ストレス・小胞体ストレス関連分子、炎症性サイトカイン、成長因子、HIF-1αの発現(定量RT-PCR・Western blotting・免疫組織)を検討した。 <結果>尿アルブミン排泄はKO群でWT群に比し有意に増加し、KO群ではDMによる増加が増悪した。KO群では腎皮質線維面積、尿細管間質炎症スコア・障害スコアがWT群に比し有意に増加した。メサンギウム基質/糸球体面積比の変化にKOの影響はなかった。腎皮質尿細管におけるHIF-1α発現強度はKO群でWT群の約13.7倍、KO-DM群はWT-DM群の約1.9倍に増加した。CTGF、MCP-1発現量は尿細管間質病変と同様の変化を示した。KO群でWT群に比し酸化ストレス増大を認めたがDMでは差がなかった。心臓においても線維化面積について同様の結果を得ており、関連分子について現在解析中である。 <考察>SMP30減少が尿細管細胞障害とHIF-1αの活性化による間質線維化促進に関与すると考えられる。このことは加齢に伴うCKDと糖尿病腎症の進展にSMP30減少が関与する可能性を示す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
SMP30ノックアウトマウスを用いて糖尿病モデルマウスを作成し、SMP30欠乏が糖尿病による心・腎合併症に及ぼす影響を当初の実験計画の項目について実施、検討できた。 昨年度のプレリミナリーな結果ではビタミンC欠乏の影響しか言及できなかったが、手技、方向性の改善、検体数の増加によビタミンC欠乏を介さないSMP30欠乏の直接的な影響に言及できた。これにより、よりヒトの病態モデルに近い実験系となり結果より得られる意義が増えた。。
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今後の研究の推進方策 |
腎病変に関する平成24年度の成果をまとめ論文化する。心臓病変について腎臓での検討に準じて、保存検体を用いて平成24年度に引き続き解析を進めていく。 1.組織学的検討(定量):4HNE染色、TUNEL染色、HIF-α染色 2.定量RT-PCR、Western blotting:p67phox、TGF-β、MCP-1、CTGF、HIF-α、BNP
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次年度の研究費の使用計画 |
平成23-24年度に作製した実験動物の組織標本、RNA検体、蛋白検体を用いて研究を進める。学会発表、論文作成を行う。その内容は定量RT-PCR(試薬、キット:400,000円)、Western blotting(試薬、抗体、キット:400,000円)、一般試薬・器具(100,000円)、旅費(成果発表:50,000円)、論文作成(50,000円)を予定している(合計:1,000,000円)。
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