研究課題
加齢指標蛋白質30(Senescence Marker Protein-30:SMP30)は加齢に伴い減少し臓器傷害の閾値を低下させることにより老化病態を引き起こす。本研究ではSMP30の欠乏が糖尿病腎症の病態進展に及ぼす影響を検討した。<方法>7週令の雄SMP30ノックアウトマウス(KO)と野生型マウス(WT)を用いストレプトゾシン誘発糖尿病を作成した。糖尿病誘発12週間後に尿アルブミン排泄、尿中尿細管傷害マーカーの測定、腎の組織学的変化、酸化ストレス、炎症の関与、HIF-1α発現について検討した。<結果>非糖尿群において尿細管傷害マーカーはKOで有意に増加した。糖尿病群ではSMP30の欠乏による増加がさらに増強された。腎尿細管間質の線維化面積は尿細管傷害スコアの上昇と同様の変化を示した。一方、SMP30欠乏はメサンギウム領域面積の拡大には影響しなかった。HIF-1α蛋白の発現とそのターゲット分子であるCTGF遺伝子の発現は尿細管傷害と関連した。SMP30の欠乏は非糖尿群で酸化ストレスを惹起した(4HNE染色)が糖尿群では変化がなかった。対照的にSMP30欠乏による尿細管炎症スコアとMCP-1遺伝子発現の増加は糖尿群にのみ認めた。<考察>SMP30の欠乏は糖尿病モデルマウスの近位尿細管傷害を増悪した。SMP30の減少が糖尿病腎症をはじめとした慢性腎臓病の加齢による進展因子となる可能性が示唆された。
すべて 2013
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PLoS One
巻: 8 ページ: e65698
10.1371/journal.pone.0065698