研究課題/領域番号 |
23591318
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
岸田 綱郎 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (00370205)
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キーワード | メタボリックシンドローム / iPS細胞 / 褐色脂肪細胞 / ダイレクトコンヴァージョン |
研究概要 |
褐色脂肪細胞は、肥満やII型糖尿病の制御に重要な意義を持つが、その研究は従来、マウスやラットを対象として発展してきた。ヒトの褐色脂肪細胞は、入手が困難であり、そのプロフィールには不明な部分が多かった。我々は最近、ヒトiPS細胞から褐色脂肪細胞 を誘導する技術を開発したので、正常人や患者より褐色脂肪細胞を大量に調整する事が可能となった。本プロジェクトではこの技術を基盤として、in silico 分子進化法とスーパーコンピューターを用いた論理的創薬システムの技術を融合させることにより、ヒト褐色 脂肪細胞の分化誘導あるいは増殖させるための分子標的薬剤の開発を目指す。本研究の成果は、内臓型肥満症やII型糖尿病に対する全く新しい分子標的治療の創出に繋がる可能性がある。 ゲノムに外来遺伝子のインテグレーションの無いヒト褐色脂肪細胞を、ヒトiPS細胞から誘導する系を、EBVエピゾーマル・ベクターを用いて立ち上げる。さらにその系を用いて、候補分子として、褐色脂肪細胞の誘導にポジティブに働いていると考えられる転写因子(BMP7、C/EBPβ、PGC-1α、PPARγ)や、ネガティブに働いていると考えられる転写因子(MyoD、Myo5、MEF2、MRF4)を制御し、もっとも効率の良い分化誘導パターンを見出す。それらの研究データをもとに、連携研究者の田村裕(千葉大学)が独自に開発した「論理的創薬システム」を用いて、上記の候補分子を制御して褐色脂肪細胞の分化を誘導できるペプチドの配列の決定する。in silicoで算出した配列のペプチドを合成し、in vitro、in vivoの両面で褐色脂肪細胞の分化誘導効率と増殖について検討を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
iPS細胞から褐色脂肪細胞の誘導のみならず、繊維芽細胞からiPSを経ずに、褐色脂肪細胞を誘導することに成功している。さらに、ウイルスベクターを用いないで、EBVプラスミドベクターを用いて、高効率に褐色脂肪細胞を繊維芽細胞から直接にコンヴァートすることにも成功している。さらに、遺伝子導入なしでペプチドや小分子ライブラリーをでiPS細胞や繊維芽細胞から褐色脂肪細胞誘導するためのスクリーニング系の構築も、ほぼ完成しており、実際に研究計画より、はるかに先に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
①千葉大学より、in silico 分子進化法とスーパーコンピューターを用いた論理的創薬システムで算出され合成されたペプチド群の供与を受ける。ヒトiPS細胞から分化させた褐色脂肪細胞に添加し培養する。添加後の細胞の、UCP-1をはじめとする遺伝子の発現を検証する。またマイクロアレイを用いて広範囲に遺伝子の変化を検討する。 ②繊維芽細胞から褐色脂肪細胞へのダイレクトリプログラミングの系に対してのペプチド群の影響を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
設備備品 なし 消耗品 本研究では、細胞培養、遺伝子導入、分子生物学的解析、生化学的解析、細胞生物学的解析、DNAマイクロアレイ解析、プロテオミクス解析等を行い、H26には実験動物を用いた解析も行うので、以下の消耗品は必要なものである。 試薬類(酵素、試薬、カラム、リコンビナント因子、マイクロアレイ関連試薬、質量分析関連試薬)核酸類(プライマー、TaqManプローブ) 抗体等(イメージングサイトメトリー解析用蛍光抗体、Westernブロッティング用抗体) 培地,血清類(細胞培養用培地および血清、各種添加試薬)プラスチック製品(培養容器、保存用器、遠心チューブ)実験動物(C57BL/6マウス、Balb/cマウス、NOGマウス) 旅費 研究成果の発表のために必要な、国内外の学会出張の旅費(国内旅費1回40千円×2回(H25、26)
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