研究課題/領域番号 |
23591320
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
出崎 克也 自治医科大学, 医学部, 准教授 (90337329)
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研究分担者 |
矢田 俊彦 自治医科大学, 医学部, 教授 (60166527)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 糖代謝 / インスリン分泌 / グレリン |
研究概要 |
グレリンは、オーファン受容体である成長ホルモン放出促進因子受容体(GHS-R)の内因性リガンドとして胃から精製された新規ペプチドであり、成長ホルモン放出、摂食促進、脂肪蓄積作用を示すことが報告されている。申請者は、これまでにグレリンによる生理的インスリン分泌抑制機構および糖代謝調節機構を明らかにしてきた。本研究では、膵島内因性グレリンによるインスリン分泌抑制機構とその病態生理的意義の解明を目的とし、Cre/LoxPシステムを用いて作出した膵島特異的グレリン遺伝子欠損マウスの糖代謝機能解析および膵島グレリン発現・分泌制御とその糖尿病態の解析を行う。1. マウス膵島細胞の単一細胞RT-PCRによりグレリンmRNAの発現を検討した結果、β細胞とα細胞におけるグレリンmRNAの発現を確認した。2. グレリン遺伝子をloxPで挟んだGhrelin-floxマウスを作出し、インスリンプロモーター制御Creマウス(Insulin-Creマウス)との交配により膵β細胞特異的グレリンKOマウス(βGhr-KOマウス)を得た。βGhr-KOマウスの摂食時、空腹時の血中インスリン値と血糖値は、Insulin-Creマウスと同程度であった。3. グレリンは、ラット膵島のグルコース誘発cAMP産生とインスリン分泌を抑制し、β細胞の電位依存性K+(Kv)チャネル電流を増強しグルコース刺激による細胞内カルシウム濃度([Ca2+]i)上昇を抑制した。4. cAMPアナログの6-Phe-cAMP存在下では、グレリンによるインスリン分泌抑制作用ならびにKvチャネル電流活性化作用、[Ca2+]i抑制作用が消失した。したがって、グレリンはβ細胞内cAMPシグナルの抑制を介したKvチャネルの活性化と[Ca2+]i低下によってインスリン分泌を抑制すると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究において最も重要なGhrelin-floxマウスの作出に成功し、膵β細胞特異的グレリンKOマウスを得た。膵β細胞グレリン受容体シグナルの詳細な解析を行い、β細胞特異的シグナル伝達を明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
作出に成功した膵β細胞特異的グレリンKOマウスのインスリン分泌、糖代謝をin vivo、in vitro実験により解析しβ細胞由来グレリンの生理的役割を明らかにする。また、グルカゴンプロモーター制御Creマウス(Glucagon-Creマウス)とGhrelin-floxマウスの交配により膵α細胞特異的グレリン遺伝子欠損マウスを作出し、糖代謝におけるα細胞由来グレリンの生理的意義を明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
・糖代謝関連ホルモンの測定キット・実験動物(マウス、ラット)・Glucagon-Creマウスの作出・試薬類
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