研究概要 |
日本人において、1型糖尿病の感受性遺伝子として、HLAクラスII(DRB1、DQB1)遺伝子以外に、インスリン(INS), CTLA4, IL2RA, ERBB3, CLEC16Aなどの遺伝子が報告されている。しかし明らかになった非HLA感受性遺伝子の効果は弱く,他にも多くの非HLA1型糖尿病感受性遺伝子が存在していると考えられる。そのため、次世代シーケンスを用いた変異・多型解析を1型糖尿病候補遺伝子(非HLA)について 行い、日本人1型糖尿病感受性への関与を検討した。 1型糖尿病96症例と健常コントロール96例について、等量のゲノムDNAを48例ずつ混合した4つのpooled DNAを作成した。INS、CTLA4 、IL2RAなどの既知の感受性遺伝子とAIRE、WFS1などの候補遺伝子を合計24遺伝子ピックアップし、各遺伝子のエクソン領域のPCR増幅産物をpooled DNA毎にすべて混合した。各々について次世代シーケンス解析を行い、バリアントの検出を行った。 24遺伝子中の18遺伝子において、アミノ酸置換を伴うSNPが合計56個同定され、そのうちの34個が低頻度バリアント(対照における MAF<0.05)であった。得られたバリアントについて、当科および共同研究施設の症例・対照について関連解析を行い、GLIS3遺伝子のA908Vバリアントが1型糖尿病に抵抗性であることを見いだした(Haldane’s odds ratio = 0.046, p = 8.21 x 10-4, and pc = 2.22 x 10-2)。 白人以外では1型糖尿病に関連する低頻度バリアントは初めての報告である。今後、さらに全エクソーム解析による感受性/抵抗性バリアントの同定を行いたい。
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