• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2012 年度 実施状況報告書

膵島の炎症におけるメチル化酵素Set7/9の役割

研究課題

研究課題/領域番号 23591324
研究機関順天堂大学

研究代表者

荻原 健  順天堂大学, 医学部, 准教授 (60399772)

キーワードSet9 / NK-kB / メチル化 / 膵β細胞 / 炎症
研究概要

インスリンを分泌する膵β細胞の機能不全は、糖尿病発症に重要な役割を果たしており、炎症は膵β細胞機能不全に関与している。NF-κBは炎症を制御する転写因子の一つであり、メチル化酵素Set7/9はNF-κBと協調的に作用し、炎症を制御することが非膵β細胞において報告された。Set7/9は膵島に豊富に発現していることから、Set7/9が膵島の炎症に関与しているとの仮説を立て、その検証のために実験を行った。
マウス膵β細胞の腫瘍株であるβTC3細胞を用い、Set7/9をノックダウンした後に、炎症性サイトカインで刺激した。RT-PCR法を用いて遺伝子発現を検討した結果、Set7/9ノックダウン群では非ノックダウン群と比較して、NF-κBの標的遺伝子であるNOS2(iNOS)のサイトカイン応答性発現上昇が約40%低下し、ウエスタン・ブロッティング法においてもサイトカイン応答性のiNOS発現が約80%低下した。また、Annexin5とCaspase3の検討では、サイトカイン刺激によりβTC3細胞のアポトーシスが増加し、Set7/9ノックダウンにより、そのアポトーシス増加が抑制された。
NF-κBは、サイトカイン応答性に細胞質から核内に移行することが知られている。βTC3細胞から細胞質・核蛋白を抽出し検討したところ、興味深いことに、Set7/9もサイトカイン応答性に核内へ移行し、免疫沈降法を用いてSet7/9がNF-κBと複合体を形成することを確認した。次いで、ChIPアッセイを施行し、Set7/9ノックダウンにより、NOS2遺伝子内のヒストン3リジン4のメチル化が障害されていることが明らかとなり、Set7/9がNOS2遺伝子のクロマチン構造を制御していることが示唆された。
本研究の意義は、メチル化修飾による炎症の制御機構を明らかにし、糖尿病治療の新たな治療法の開発に貢献することである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究の結果から、膵β細胞においてSet7/9がiNOSの発現を通じて、炎症を制御し、アポトーシスに関与する可能性が示唆された。更に、Set7/9はクロマチン構造の制御を通じて、サイトカイン応答性のiNOS発現に関与することが明らかとなった。

今後の研究の推進方策

NF-κBのメチル化解析・NF-κBの標的遺伝子のクロマチン構造の解析を通じて、Set7/9が炎症を制御する機構の更なる詳細を明らかにする。また、膵β細胞株の実験で得た知見を、膵島特異的Set7/9ノックアウトマウスで検証する方針である。

次年度の研究費の使用計画

RT-PCR、ウエスタン・ブロッティング、ChIP assay等の分子生物学的解析に750,000円、実験に供する動物の系統維持に250,000円、消耗品等に170,000円の費用を計上している。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2013 その他

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] Set7/9 regulates cytokine-induced expression of iNOS in beta cells through histone modification.2013

    • 著者名/発表者名
      藤巻杏子、荻原 健、福中彩子、藤谷与士夫、綿田裕孝
    • 学会等名
      American Diabetes Association 73rd Scientific Sessions
    • 発表場所
      シカゴ
    • 年月日
      20130620-20130625
  • [学会発表] Set7/9はiNOS発現制御を介して膵島炎症に関与する

    • 著者名/発表者名
      藤巻杏子、荻原 健、藤谷与士夫、綿田裕孝
    • 学会等名
      第56回日本糖尿病学会年次学術集会
    • 発表場所
      熊本

URL: 

公開日: 2014-07-24  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi