研究課題/領域番号 |
23591327
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
能宗 伸輔 近畿大学, 医学部, 講師 (90460849)
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研究分担者 |
池上 博司 近畿大学, 医学部, 教授 (20221062)
川畑 由美子 近畿大学, 医学部, 准教授 (80423185)
馬場谷 成 近畿大学, 医学部, 講師 (10449837)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | type 1 diabetes / insulin / genetics |
研究概要 |
1)ヒトにおける関連解析では、MAFA Gly346Cys多型の1型糖尿病疾患感受性との関連を確認する目的で、多施設共同研究による大規模2次パネルを収集した。1型糖尿病患者532例、健常対照者346例を用いた関連解析では、オッズ比0.58、95%信頼限界0.36-0.94、p値0.03と有意な関連を認めた。さらに、MAFAと同様に胸腺におけるインスリン発現量を介して1型糖尿病の疾患感受性に関与するインスリン遺伝子多型(IDDM2)の疾患感受性アリルを有する患者において強い関連を示すことが確認された(オッズ比0.50、95%信頼限界0.31-0.80、p値0.005)。1次パネル(1型糖尿病患者139例、健常対照者263例)とのメタ解析の結果、オッズ比0.51、95%信頼限界0.33-0.78、p値0.002と有意な関連が示された。さらに米コロラド大学George Eisenbarth教授からサンプル供与(1型糖尿病患者228例、健常対照者223例)を受け解析したところ、欧米白人においての明かな関連は認められなかった(オッズ比1.14、95%信頼限界0.66-1.99)(12th International Conference on the Immunology of Diabetes, Victoria, Canada, 2012にて発表予定)。2)Mafaノックアウトマウスについては、1型糖尿病モデルであるNODマウスへの戻し交配が終了しMafaノックアウトNODマウスの作出に成功した。現在、累積糖尿病自然発症率の観察実験をおこなっている。3)MafaトランスジェニックNODマウス作出については、Aireプロモーター下のMafaのcDNAを過剰発現するためのトランスジーンの作成を行なっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1)ヒトにおける関連解析では、当初の目標である二次パネルの結果を既に得ており十分な結果を得ている。さらに一次パネルとのmeta解析、人種間比較の為の欧米白人における検討も終えており想定されていた結果以上の進展が認められている。2)Mafaノックアウトマウスの戻し交配について時間と労力のかかる研究であるにも関わらず背景遺伝子のIdd領域のNOD化に成功しており、初年度の結果としては十分といえる。また累積糖尿病自然発症率の観察研究についても約1年の観察期間が必要であり次年度以降に継続的におこなうことは当初の予定通りである。3)MafaトランスジェニックNODマウスの作出については、トランスジーン作成が終了していることが望ましかったが、GCリッチな塩基配列の影響で、当初の目的を達していない。上記三点を総じて、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
1)ヒトにおける関連解析では、MAFA遺伝子やINS遺伝子のように膵島特異的自己免疫疾患に関与する他の遺伝子を同定する目的で、1型糖尿病の候補遺伝子を、1型糖尿病だけでなく複数の自己免疫免疫疾患との関連解析をおこなう。そのためのDNAサンプルとして自己免疫性甲状腺疾患患者190名、自己免疫性円形脱毛症患者110名はすでに収集済みであり、さらに検体収集過程にある。2)MafaノックアウトNODマウスにおいては、引き続き累積糖尿病自然発症率の観察研究を行なうとともに膵組織を収集して膵島炎の評価をおこなう。3)MafaトランスジェニックNODマウスについては、引き続きトランスジーンを作成し、NOD受精卵にマイクロインジェクションをおこないトランスジェニックマウスの作出をおこなう。
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次年度の研究費の使用計画 |
1)DNA抽出、および遺伝子型の決定のための試薬、機器の維持に関わる費用に使用。2)マウス系統維持に必要な飼料などの維持費、尿糖および血糖測定に必要な消耗品。組織固定、染色に必要な経費に使用。3)トランスジーンおよびマイクロインジェクションに必要な試薬など消耗品費用に使用。
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