研究課題
終末糖化産物受容体(Receptor for advanced glycation end-products, RAGE)は炎症シグナルと密接に関連し、糖尿病性血管合併症の病因に重要な役割を果たす。血漿中には、細胞外ドメインが切断された可溶性RAGE (sRAGE)と、spliced variantである分泌型RAGE (endogenous secretory RAGE, esRAGE)が存在する。本年度の研究課題として、2型糖尿病患者を対象とし,2種類の経口糖尿病薬、ピオグリタゾン(Pio)またはグリメピリド(Gli)の単核球RAGE発現、血中sRAGE,esRAGE濃度に及ぼす影響を無作為群間比較試験により検討した。63名の2型糖尿病患者に対して、Pio(15-30mg/日)またはGli(1-4mg/日)投与群に無作為に割り付け、24週間の治療期間を終えたPio群27名、Gli群30名を解析した。末梢単核球RAGE発現量はflow cytometry法で、血漿sRAGE,esRAGE濃度はELISA法で測定した。空腹時血糖、HbA1c、IRI、HOMA、LDL-Cho、TGの変化量はPio群・Gli群で有意な差を認めなかった。体重の⊿6カ月増加量はPio群でGli 群より有意に上昇、HDL-Cho増加量は⊿3・6カ月ともPio群で有意に上昇した。単核球RAGE発現の⊿6カ月低下量は、Pio群(-7.39±5.18MFI)でGli群(-3.39±5.72)に比べて有意に低下した(p=0.008)。血漿esRAGE値増加量は、⊿3カ月:Pio群(55±15 pg/ml、p=0.018)、Gli群(12±9)、⊿6カ月:Pio群(90±14 pg/ml、p=0.003)、Gli群(29±14)と、Pio群で有意に増加量が大きかった。血漿sRAGEの⊿6カ月増加量は、Pio群(170±166 pg/ml)でGly群(74±171)に比べて有意に上昇した(p=0.037)、⊿3カ月では両群で有意な増加量の差はなかった(p=0.23)。以上よりピオグリタゾンは血糖低下作用・インスリン抵抗性指数の変化に独立して、単核球RAGE発現の低下、血漿sRAGE/esRAGE増加作用を示すことが明らかになった。
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