研究課題
私達が同定した核内受容体転写共役因子PDIP1は、他のグループによる細胞内リン酸化タンパク質の網羅的解析の報告において338番目のセリン (Ser338)、1006番目のセリン (Ser1006)、および1507番目のチロシン (Tyr1507)がリン酸化されることが報告されている。しかし、PDIP1機能におけるこれらのアミノ酸リン酸化の生理学的意義は不明である。そこで、これらのアミノ酸をアラニンに置換した変異PDIP1発現ベクターを作成し、その機能解析を行った。まず実際にPDIP1が細胞内でチロシンリン酸化されることを、チロシン脱リン酸化阻害剤 (POV)の存在下における免疫沈降法にて確認した。更に変異PDIP1蛋白の細胞内局在および分解速度を検討したが、野生型PDIP1と差を認めなかった。近年私達はPDIP1に結合する蛋白としてthyroid hormone receptor associated protein 3 (THRAP3)を同定したが、免疫沈降法において、これらの変異PDIP1はいずれもTHRAP3との会合が有意に減弱しており、THRAP3との協調的なPPARγ転写活性化増強能が有意に減弱していた。以上の成績より、PDIP1のSer338、Ser1006、Tyr1507は、THRAP3との結合に重要な役割を果たすことが判明した。PDIP1機能を更に解析する目的で、私達はLC-MS/MSを用いて、POV存在下でPDIP1に結合する新規蛋白としてpolyprimidine tract-binding protein associated-splicing factor (PSF)を同定した。このPSFはスプライシング因子であることが報告されており、生体内におけるRNAスプライシング調節にPDIP1、 THRAP3およびPSF複合体が関与する可能性が示唆された。
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