研究課題/領域番号 |
23591333
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
塚本 和久 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (20251233)
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研究分担者 |
森屋 恭爾 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (00272550)
渡辺 毅 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (80158641)
佐藤 博亮 福島県立医科大学, 医学部, 准教授 (20323595)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 小胞体ストレス / コレステロール / 肝臓 |
研究概要 |
I.HepG2 細胞へのステロール負荷による、ER ストレス惹起の検討:コレステロール、シトステロール、カンペステロールをそれぞれ160μMの濃度で、サイクロデキストリンを担体として、単層培養HepG2細胞、スフェロイド培養HepG2細胞に投与し、この方法にて、各ステロールが細胞内に取り込まれることをHPLC法を用いて確認した。これら細胞にて、ステロール負荷によるERストレスを、eIFのリン酸化とGRP78の発現量を指標に検討したところ、単層培養HepG2細胞ではコレステロール負荷群のみにERストレスが惹起されたが、スフェロイド培養では、各群間に相違は認めなかった。II.HMG CoA 還元酵素およびLDL 受容体cDNA のクローニングとアデノウイルス作成:ヒトLDL受容体をコードするアデノウイルスの作成を終了し、in vitro・in vivoともに発現することをウエスタンブロット法にて確認した。HMG CoA 還元酵素はcDNAクローニングが終了し、ウイルス作成がほぼ終了したところである。これらウイルスを用いて、平成24年度以降の検討を行う予定である。III.NPC1L1 発現によるマウス肝臓におけるコレステロールの細胞内分布、およびER ストレスの評価:NPC1L1をマウス肝臓に発現させ、蔗糖密度勾配法を用いて肝臓のミトコンドリア、Light Membrane(エンドソームなど)、Heavy Membrane(小胞体など)を分離して、それぞれのコレステロール含有量を測定したところ、NPC1L1を発現させた群では、ミトコンドリア、Light Membraneでのコレステロール含有量が増加していたが、Heavy Membraneでは増加を認めなかった。また、I.と同様にERストレスについて検討したが、eIFのリン酸化、GRP78の発現共に両群間で明らかな相違は認めなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度は、HMG CoA 還元酵素をコードするアデノウイルスの完成が未達成である以外は当初予定していた検討(「研究実績の概要」のI項およびIII項参照)はほぼ終了しており、おおむね順調に進展していると考える。HMG CoA 還元酵素アデノウイルスは、蛋白での発現を確認する段階に入っている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究は、当初の研究計画書に従ってすすめていくとともに、作成したウイルスおよび既に使用しているウイルス発現によるマウスでの糖代謝に及ぼす効果を検討することも考慮中である。次年度に使用する予定の研究費が生じた状況:平成24年度および平成25年度には平成23年度と比較して、通常の研究(ウイルス作成や各種抗体、生化学的検討やRT-PCRのプライマーなど)にかかる費用に加えて高価な遺伝子改変マウス(アポE欠損マウスやLDL受容体欠損マウス)の購入費用、マススペクトロメトリーなどの費用が必要となる。それゆえ、研究費が基金化されたことを利用し、平成23年度の研究費はできるだけ温存して使用した。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度は、(1)アポE欠損マウスにアデノウイルスを用いてNPC1L1を発現させ、それによる血中脂質および肝臓内脂質への影響、および肝臓内ERストレスへの変化を検討する。また、(2)ERストレスを惹起する薬剤(tunicamycinおよびthapsigargin)を正常マウスに投与することにより、どのようなERストレスシグナルが肝臓に惹起されるかを検討する。可能であれば、(3)当初平成25年度に予定していた、LDL受容体欠損マウスに対してLDL受容体およびNPC1L1そしてHMG CoA 還元酵素をその肝臓に発現させてのERストレスに与える効果の相違を検討する予定である。
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