研究課題
本研究の平成23-24年度における主要な研究課題は、(1)ヒトにおける血中分泌型VLDL受容体濃度の臨床的意義の解明と(2)VLDL受容体(全長型および分泌型)の生理機能の解明である。 (1)ヒトにおける血中分泌型VLDL受容体濃度の臨床的意義の解明 2011年12月に福井大学倫理審査委員会からの「ヒト血中分泌型VLDL 受容体測定の臨床的意義の検討」の研究課題に対して承認をいただいた。測定対象者を1.脂質異常症 (VLDL受容体がTG リッチリポ蛋白を認識するリポ蛋白受容体であるため) 2.糖尿病 (VLDL 受容体がインスリン依存性の発現増加を示すため 3.肥満 (脂肪組織にVLDL 受容体が発現しており、チアゾリジン薬による肥満は脂肪細胞VLDL 受容体発現増加に起因する事が解明されたため)4.メタボリックシンドローム (糖尿病・肥満と同様の理由にて) 5.冠動脈硬化症 (マクロファージにVLDL 受容体が発現され、TG リッチリポ蛋白によるマクロファージ泡沫化にVLDL 受容体経路が関与するため) 6.血管炎 (内皮細胞では2 型VLDL 受容体mRNA のみ発現しているため) 7.白血病 (正常者単球細胞にはVLDL 受容体蛋白発現が認められないが、急性単球性白血病から作製されたTHP-1単球培養細胞ではVLDL 受容体が強発現されているため) 8.精神疾患 (脳の発達過程においてReelin受容体として機能しているため)とし、代謝学以外に血液学・精神神経学分野の検討も追加した。 (2)VLDL受容体(全長型および分泌型)の生理機能の解明 マウス・ウサギ・ヒトのin vitroとin vivoのマクロファージ細胞や動脈硬化病変を比較検討した。ウサギ・ヒトのマクロファージ細胞にはVLDL受容体蛋白発現を認めるのに対して、マウスのマクロファージ細胞のVLDL受容体蛋白はなかった。
3: やや遅れている
2011年12月にようやく福井大学倫理審査委員会からの「ヒト血中分泌型VLDL 受容体測定の臨床的意義の検討」の研究課題に対して承認をいただいたため、(1)ヒトにおける血中分泌型VLDL受容体濃度の臨床的意義の解明はサンプルの収集が遅れている。
(1)ヒトにおける血中分泌型VLDL受容体濃度の臨床的意義の解明:ヒトのサンプル(血清)の収集を進める。(2)VLDL受容体(全長型および分泌型)の生理機能の解明:高脂血症薬である、スタチンとVLDL受容体発現の関連を見つけた。より詳細な研究を進める。
(1)ヒトにおける血中分泌型VLDL受容体濃度測定の費用に充てる。(2)スタチンとVLDL受容体発現の関連の研究のための分子生物学的研究試薬の購入に使用する。
すべて 2011
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件)
Biochem. Biophys. Res. Commun.
巻: 407 ページ: 656-662