研究課題/領域番号 |
23591339
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
大須賀 淳一 自治医科大学, 医学部, 准教授 (10334400)
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研究分担者 |
石橋 俊 自治医科大学, 医学部, 教授 (90212919)
野牛 宏晃 自治医科大学, 医学部, 非常勤講師 (60348018)
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キーワード | マクロファージ / コレステロールエステル / 泡沫化 / 粥状動脈硬化症 |
研究概要 |
本研究は、マクロファージの泡沫化に関与する諸分子の1つであるコレステロールエステル水解酵素(NCEH1)に着目して、ヒト粥状動脈硬化へのNCEH1の関与を生化学的、分子生物学的手法により解析するものである。NCEH1は、細胞内のコレステロールエステルを水解するneutral cholesterol ester hydrolase(nCEH)活性の主要なものである。従来、ヒトのマクロファージのnCEH活性を担う分子として、ホルモン感受性リパーゼ(HSL)とcholesterol ester hydrolase (CES1)が候補と考えられていたが、HSLのヒト単球由来マクロファージでの発現量は非常に低く、HSL阻害薬を用いてもnCEH活性は抑制されないので、HSLのヒト単球由来マクロファージのnCEHを担う分子としての寄与度はほとんどないものと考えられた。同様に、CES1の発現はマクロファージに認めるものの、nCEH活性が極めて低く、ヒト単球由来マクロファージにおいてノックダウンしてもnCEH活性への影響はなかった。一方、NCEH1は単球からマクロファージの分化に伴って発現が誘導され、活性阻害薬(AS115)によりnCEH活性は85%までに抑制された。これらの結果より、NCEH1はヒトマクロファージの主要なnCEHであることが示された。また、ヒト大動脈の動脈硬化性病変の免疫組織学的検討した結果、NCEH1はCD68の染色部位に一致して存在することが明らかとなった。以上の結果より、NCEH1はヒト単球由来マクロファージの泡沫化に影響する重要な分子で、ヒトの動脈硬化形成にも関与していることが示唆された。
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